読んでいただく方々により伝わりやすい文章を書きたい。
ブログを書いているワタシもいつもその点が悩みのタネ。文章術の本はそんなときに力強い味方になってくれます。
合計110ページのコンパクトな新書ですが、物書きにとって、大切なエッセンスが満載。
さっそくご紹介いたします。
伝えるだけでは文章じゃない
著者の古賀史健さん。岸見一郎さんとの共著『嫌われる勇気』を世に送り出してくださった方でもあります。
そんな著者が教えてくれる「なんのために書くのか。どう書くのか。」
まずはイントロダクションでのメッセージが刺さります。
伝えるだけでは文章じゃない。
文章を書く目的、それは「読者を動かすこと」である。
文章術の本でよく語られている「読者を動かす」。”作文の真髄”なのですよね。
とはいえ。
書き手が思いを伝えたいと願う一方、受け手の側からしたら、「押されたら引きたくなっちゃう」みたいな”反作用の法則”にも陥りがち。
反作用になりながらも、それでも、読者のこころに届けるためにはどのようにすればよいのでしょうか?
”反作用”を最小限にとどめ、伝わり易い文章にするために
そのためには「論理的であること」それをふまえて「どう構成するか」。
本章では以下の8つのポイントにそって、その方法を導いてくれます。
- 接続詞
- マトリョーシカ
- カメラワークを意識する
- 起承転結でなく、”起転承結”
- 説得ではなく納得
- 自分ツッコみ
- 引き算
- 読者はどこにいるのか
とくに気づいたことについてお伝えさせていただきます。
論理的な文章であるために
接続詞
「何を言っているのかわからない文章」とは、文章が”迷子になった状態”。
この”迷子”を防いでくれるのが、接続詞の適切な使い方。
ふたつの文章を並べてみてそこにどんな接続詞が入るか?をチェックする。それにより、論理的な文章が書けるようになれる。
感覚的に「この接続詞はちょっと違和感ある」「こっちの接続詞のほうがよさそうだ」と感じる箇所は、文章が”曲がっちゃいけないところ”であることが多い。
道筋を「方向指示器」として示すことによって、”著者のドライブ”に読者が付いてきてくれるようになる。
直進するのか右折するのか左折するのか…etc.接続詞とは、文章にとって大切な”ナビ”なのですね。
論理のマトリョーシカ
ナビの次は構造。
「主張」を「理由」によって支え「事実」によって補強する。
これを”大中小のマトリョーシカ”で三層にしてゆくと、論理の力を借りて読者に届けることができる。
「主張」が抜けてしまうと、「けっきょく何が言いたいの?」となってしまいがち。一方、「主張」だけでも、「で?」ともなってしまいがち。だからこの、”マトリョーシカ構造”になるといいのですね。
文章の構成
これらの論理をクリアして、次に大切なのが「文章の構成」。
そのためのポイントが以下の二点。
”カメラワーク”を意識する
構成。「映画」(カメラワーク)に例えてみると分かり易い。
- 導入:客観のカメラ→場所や季節、時代などの”客観情報”(遠景)をまず伝える。
- 本編:主観のカメラ→主人公の心情や登場人物との関わり合いやコミュニケーションなどの”主観情報”(近景)を伝える。
- エンディング:客観のカメラ→再び、背景や人影などの”客観情報”(俯瞰的な遠景)でクロージングする。
たしかに、映画とはこのような構成になっています。
映像でも文字でも。相手に伝えたいという思いは一緒なのですよね。
「起転承結」もオモシロイ
「起承転結」。モノゴトを論じる際に大切なこととして、よくいわれます。
起: 事実や出来事を述べる。
承: 『起』で述べたことに関することを述べる。解説したり、それによって起こる問題点を述べたり、感想、意見を述べたりする。
転: 『起承』とは関係のない別のことがらを持ち出す。
結: 全体を関連づけてしめくくる。
ーWikipediaより引用
しかし、必ずしもこの順番でなくてもよい。著者は「起転承結」をススメてくれます。
冒頭の一般論(起)の次に、あえて、逆説(転)をもってくる。すると、文章の活き活きさやオモシロさが増す。
直球だけでなく、こんな変化球も併せ持つと、さらに書き手の個性が発揮できそうです。
読み手に受け入れてもらうために
論理と構成を備えた。とはいえ、それだけで本当に伝わるのでしょうか。
「本当に受け入れていただくため」に大切な点とは?
「説得」ではなく「納得」
両者の違いについて、分かり易い文例を示してくれます。
シーン→お年寄りにパソコンをおススメするのに
- 説得:パソコンは情報化社会において必須です。これを覚えないと時代に取り残されてしまいます。
- 納得:パソコンを覚えると、お孫さんと毎日テレビ電話でお話することができますよ。
下記のメッセージがとても刺さりました。
人は正しさだけでは動かない。他人事じゃないと感じたときに、ようやく耳を傾けるようになる。
「ワタシの出来事」ではなく「アナタの出来事」…そんな文章であれるように心がけてゆきたい。
より納得感を高める「自分ツッコみ」
そうして書いていったとしても。一方的な論説に陥りがちだと読む方にとってはなんだかツマラナイものになってしまう。
そんなとき、より納得感を得ていただくのによいのが「自分ツッコみ」。
読者が疑問に思うであろう点を察知してみて、キャッチボールのように自分で反論して再反論して。読者との対話を楽しむように進めてゆくのもよい。
どこか「お笑いの精神」にも通ずるものがありますね(笑)
読者はどこにいるのか
論理と構成と納得も備えた。
終章では、「誰に向けて文章を書くべきなのか」という点で結んでくれます。
ポイントは、
「手紙」のように、ただひとりの読者に喜んでもらえるように書く。
具体的に「どこかにいる誰か」例えば、クライアントさんだったり友達だったり家族だったり。「特定の個人」にまで絞り込むこと。
でも、「間違った誰か」を想定してしまうこともありがち。
その場合最強なのが、「あのころの自分」に向けて書く。
それってどういうことなの?
もっとも響いた一文をご紹介させていただきます。
かつての自分に向けて書けば、今を生きる誰かに届く。
次は、この本を読んでみたいと思っています。
まとめ
なんのために文章を書くのか
☆読者を動かすため。
どう書くのか
☆論理的であること
☆構成
☆読者の納得感
読者はどこにいるのか
☆あのころの自分
ポケットサイズ(左はiPhone5S)なのに、たくさん宝物が詰まった珠玉の書。
ブログでも手紙でもビジネス文書でもメール文書でも。
すべての「物書き」をする方々のために、ぜひお薦めの一冊です。
「書くこと」についてを教えてくれる本。よろしければコチラの記事もどうぞ。