「リーダーを降りたい」部下さんはなぜそう訴えてきたのか? 何が辛いのか? あらためて考えてみる
こんにちは。女性管理職16年の いくみ(@nesan_blogger)です。
我が勤務先チームのリーダー。あるとき「リーダーをやらせてください」と立候補してくれ、張り切ってチームをまとめてくれていました。
ところが、最近になって「リーダーを降りたい」と訴え出てきた。
こんな相談があったときに、部下さんはなにが辛いのか。あらためて考えてみたことをご紹介します。
管理職・役職を降りたいと思う理由ベスト5
管理職やリーダーを「降りたい」と思うのは、決して珍しいことではありません。20年の管理職経験の中で、私自身も何度もそう思いましたし、部下さんからも相談を受けてきました。
理由①:業務が過多すぎて体が持たない
プレイングマネージャーとして、自分の業務もこなしながらマネジメントも行う。物理的に限界を感じるのは自然なことです。
理由②:人間関係の板挨みに疲れた
部下さん同士のトラブル、上司との板挨み。中間管理職として「別の仕事をしたかったのに」と感じることがあります。
理由③:家庭との両立が難しい
特に女性管理職の場合、育児や介護との両立が大きな課題となります。「降りれば楽になるのでは」という思いが頼をよぎります。
理由④:自分には管理職の適性がないと感じる
「人前で話すのが苦手」「決断力がない」など、自分の性格と役割のギャップに悩む方がいます。
理由⑤:評価や責任のプレッシャーがきつい
部署の成績が自分の評価に直結するプレッシャー。「結果を出さなきゃ」という緊張感が常にあります。

管理職を降りたいときの伝え方
実際に「降りたい」と伝えるとき、どうすればよいのか。私の部下さんが実際に相談してきたときの経験からお伝えします。
• 感情的にならず、「今後のキャリアを考えた上で」というフレームで伝える
• 「辞めたい」ではなく「役割を変えたい」という言い方にする
• 代替案を準備する(専門職への転換、プロジェクトメンバーとしての継続など)
• 上司に相談するタイミングは、繁忙期を避けて落ち着いた時期に
管理職を降りた後のキャリアと後悔はあるのか
「降りたら後悔するのでは」と不安に思う方も多いでしょう。実際には、降りた後の選択肢はいくつもあります。
選択肢①:専門職としての道
マネジメントから離れ、自分の得意分野のスペシャリストとして活躍する道です。
選択肢②:部署異動で環境を変える
「今の部署での管理職がつらい」なら、別の部署で心機一転という方法もあります。
選択肢③:転職という選択
会社全体の風土が合わない場合、新しい環境でリスタートすることも一つの手です。
女性管理職が降りたいと思うとき
女性管理職ならではの悩みもあります。「女性なのに管理職なんて」という周囲の声、ロールモデルの不在、家庭との両立問題。
私自身、「降りたい」と思った経験は一度や二度ではありません。でも、そのたびに部下さんの笑顔を見て、「もう少しだけ」と踏みとどまってきました。
降りることは「逃げ」ではありません。自分の人生を自分で選ぶことです。
「リーダーを降りたい」と言われたら
とにかく話を聴くしかありません。このように言われたときの、話を聴く順番については以下のとおりに進めます。
- なぜ、そう思のか?を聴く
- リーダーを降りて、何をやりたいのか?を聴く
- リーダーを降りて、その後チームがどうなれると思うか?を聴く
- 自分でやりたいと思ったことをあきらめることに、後悔はないのか?を聴く
時々、4.や3.を先に聴きだしてしまおうとする上司がいますが、これだと、責めているように受け止められがちなので避けたほうがいいです。
本人だって、張り切っていたことをあきらめるのは、なにか辛いことをかかえているからに違いありません。
まずはそこから聴き始めること。ひととおり本人が話し終わるまでは、こちらから切り出さないようにします。
なぜ、そう思うのか?
まず最初にその理由を教えてもらいます。
ちなみに、私と彼女との間には、グループを統括しているマネージャーが居て、そのマネージャーが彼女の直属の上司です。
当初はもちろん、マネージャーに直接相談していたようですが、うまくいかなかったとのことで、私のところに相談にきました。
・新しく始まったプロジェクトに色々難しさがあって、なかなかスムーズに進まないこと
・マネージャーに相談しても、適切なアドバイスがもらえないこと
・うまく進まないことで、メンバーが自分のことを悪く言っている(みたいに思う)こと
本人の話が終わった後、私から切り出します。できる限りニュートラルに。
→このプロジェクトは大変だよね。いろいろお疲れ様です。ひとつひとつ解決できて前に進んでいると思うよ
→マネージャーとのやりとりに、いろいろ行き違いがあるみたいだね。マネージャーもあなたを応援したいという気持ちに変わりはないよ
→メンバーからの悪口?私の耳には聞こえてこないし、みんなあなたについて行こうと一生懸命やっているよ
そんな対話を進めてみるも、
「もう無理なんです」「このままだと身体を壊しかねないです」
体調の話になってしまったら、もうそれ以上無理に推し進めることはできません。
リーダーを降りて何がやりたいのか?
わかった。健康第一にしてもらわないとね。
リーダー降りて、では何がやりたいと思うの?次に聴いてみます。
「いちプレーヤーとして業務を粛々とこなすことに徹したいです。」
なるほど。でも、リーダーじゃなくても、あなたはみんなの先輩でもあるから、後輩たちから頼られるだろうし、マネージャーとこれからも対話が必要。
何か変わるのかな?
「とにかく、リーダーじゃなければ、なんとかなるんです」
やや、客観性に欠ける意見ですが…感情面での問題もあるのでしょう。
リーダーを降りて、チームはどう変われるか?
メンバーもあなたについていくと決めてくれていたから、いきなり「いちメンバーに戻りました」ってなったら、みんなどうなっちゃうかな?うまく切り替えてくれるかな?
今度は、本人からの見え方じゃなくて、チームからの見え方について、意見を聴きます。
「たぶん、切り替えてくれると思います」
これはもう、本人の希望的観測も入っている。
よっぽど辛いのかもしれない。
ただ、メンバーにどう説明して理解してもらって、彼女の抜けた穴をどう埋めるのかは、すぐにはアイディアがでません。
まずは、マネージャーにその部分をカバーしてもらうことになるだろうけれど、ただでさえ多忙なマネージャー。
今度は、こっちのほうが心配になってきます。

後悔はないのか?
さらに対話を重ねてみると、「これまでも私、人に教えたり上に立ったりするのは、とても苦手だったんです」
えーっ…私の心の声がささやきます。
おいおい、それならなんでリーダーに立候補したのかしら?
ま、さておき。
「それでもチームをなんとか盛り上げていきたいと思って、リーダーやらせてくださいってお願いしました」
それはありがとう。
せっかくやってみたのだから、あきらめずに、ここで苦手だったことをクリアするっていう計画はどう?
自分の箱から出てみる、っていう考え方もあるよ。降りちゃって後悔はしないかな?
「やらせてもらったことは今後の糧にしたいです。でも、もう無理なんです」
またしても「無理宣言」
彼女のこれからの成長のためには、ここを頑張って乗り越えてほしいものだと親心からは切に願うのですが、仕方ないです。
リーダーを降りたいと思った部下さんの辛さを忘れない
リーダーのなり手に悩んでいるのは、どこの企業も同じかもしれません。
本人が立候補してくれるのがありがたくて、チャレンジしてもらったのですが、残念ながらうまくいきませんでした。
心意気だけでなくて、キャラクター的な面も含めて。
本当にリーダーに向いているのか?上司の任命責任、さらにしっかり取り組まなければいけないなぁ…というのが私の反省でもあります。
とくに会社の年度変わりのときは、様々人事の出来事があるもの。
リーダーになりたい人もいれば降りたい人もいる。
リーダーを降りたいって思った本人の辛さ。それを忘れないようにして。
もしあらためて「チャレンジしたいです」と言われたときは、再び後押しするつもりです。

その後の様子
この記事を最初に書いてから1年が経ちました。
リーダーを降りて"いちプレーヤー"に戻った様子は、どこかホッとしたようで、どこかやり尽せなかった感もあるようですが
元々現場仕事でガツガツが得意だった彼女。プレーヤーに戻っての仕事は、再び充実を取り戻した感も見受けます。
周りのメンバーもマネージャーも見守ってくれているようで、ありがたいものです。
また何かあったらいつでも相談してきてね。
リーダーをやりたいと思ったり降りたいと思ったり、長い仕事人生、色々あっていいのです。
リーダーを降りたいと、自分自身が思ったときのこと
最後に、自分がリーダーを降りたいと思ったことがあるか?について。
管理職16年間で「しんどいなー」というときはチョコチョコありましたが、深刻に「もう無理、降りたい」と悩んだことが、1回だけあります。
それは、長年取り組んできた事業が組織再編でクローズすることになり、全く異なる部署へ異動することになったときです。
あまり興味の持てない分野で、しかも、ずっと一緒にやってきた部下さんたちとも離れ離れになってしまう。
異動先でも「リーダー」として任命されたものの、何のためのリーダーなんだろう?そんなの意味あるんだろうか?否定語ばかりが頭に浮かんできます。
リーダーを降りたいという気持ちだけでなく、会社を辞めることも考えたほどでした。
でも降りなかった。辞めなかった。たいそうな理由でもなんでもなく、単純に「投げ出すのが悔しかった」からです。

実際に取り組んでみたら、新しい仲間たちとも出会い、最初は「興味持てない」と思っていたことも、上辺を見ていただけでやってみると中々奥深いものがある。
その後も何回かの組織再編や部署異動があり、再び挫けそうなときも訪れましたが、今振り返ってみて、リーダーのやりがいって一朝一夕に得られるものではなく、コツコツ積み上げていくものなんだなぁと実感しています。
管理職を引き受けるかどうか悩んでいる女性に向けての記事も書いています。よろしければコチラもどうぞ。
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