こんにちは。女性管理職16年の いくみ(@nesan_blogger)です。
我が勤務先チームのリーダー。あるとき「リーダーをやらせてください」と立候補してくれ、張り切ってチームをまとめてくれていました。
ところが、最近になって「リーダーを降りたい」と訴え出てきた。
こんな相談があったときに、部下さんはなにが辛いのか。あらためて考えてみたことをご紹介します。
「リーダーを降りたい」と言われたら
とにかく話を聴くしかありません。このように言われたときの、話を聴く順番については以下のとおりに進めます。
- なぜ、そう思のか?を聴く
- リーダーを降りて、何をやりたいのか?を聴く
- リーダーを降りて、その後チームがどうなれると思うか?を聴く
- 自分でやりたいと思ったことをあきらめることに、後悔はないのか?を聴く
時々、4.や3.を先に聴きだしてしまおうとする上司がいますが、これだと、責めているように受け止められがちなので避けたほうがいいです。
本人だって、張り切っていたことをあきらめるのは、なにか辛いことをかかえているからに違いありません。
まずはそこから聴き始めること。ひととおり本人が話し終わるまでは、こちらから切り出さないようにします。
なぜ、そう思うのか?
まず最初にその理由を教えてもらいます。
ちなみに、私と彼女との間には、グループを統括しているマネージャーが居て、そのマネージャーが彼女の直属の上司です。
当初はもちろん、マネージャーに直接相談していたようですが、うまくいかなかったとのことで、私のところに相談にきました。
・新しく始まったプロジェクトに色々難しさがあって、なかなかスムーズに進まないこと
・マネージャーに相談しても、適切なアドバイスがもらえないこと
・うまく進まないことで、メンバーが自分のことを悪く言っている(みたいに思う)こと
仕事上の悩みというのは、コミュニケーションの点であることが多い。
本人の話が終わった後、私から切り出します。できる限りニュートラルに。
→このプロジェクトは大変だよね。いろいろお疲れ様です。ひとつひとつ解決できて前に進んでいると思うよ
→マネージャーとのやりとりに、いろいろ行き違いがあるみたいだね。マネージャーもあなたを応援したいという気持ちに変わりはないよ
→メンバーからの悪口?私の耳には聞こえてこないし、みんなあなたについて行こうと一生懸命やっているよ
そんな対話を進めてみるも、
「もう無理なんです」「このままだと身体を壊しかねないです」
体調の話になってしまったら、もうそれ以上無理に推し進めることはできません。
リーダーを降りて何がやりたいのか?
わかった。健康第一にしてもらわないとね。
リーダー降りて、では何がやりたいと思うの?次に聴いてみます。
「いちプレーヤーとして業務を粛々とこなすことに徹したいです。」
なるほど。でも、リーダーじゃなくても、あなたはみんなの先輩でもあるから、後輩たちから頼られるだろうし、マネージャーとこれからも対話が必要。
何か変わるのかな?
「とにかく、リーダーじゃなければ、なんとかなるんです」
やや、客観性に欠ける意見ですが…感情面での問題もあるのでしょう。
リーダーを降りて、チームはどう変われるか?
メンバーもあなたについていくと決めてくれていたから、いきなり「いちメンバーに戻りました」ってなったら、みんなどうなっちゃうかな?うまく切り替えてくれるかな?
今度は、本人からの見え方じゃなくて、チームからの見え方について、意見を聴きます。
「たぶん、切り替えてくれると思います」
これはもう、本人の希望的観測も入っている。
よっぽど辛いのかもしれない。
ただ、メンバーにどう説明して理解してもらって、彼女の抜けた穴をどう埋めるのかは、すぐにはアイディアがでません。
まずは、マネージャーにその部分をカバーしてもらうことになるだろうけれど、ただでさえ多忙なマネージャー。
今度は、こっちのほうが心配になってきます。
後悔はないのか?
さらに対話を重ねてみると、「これまでも私、人に教えたり上に立ったりするのは、とても苦手だったんです」
えーっ…私の心の声がささやきます。
おいおい、それならなんでリーダーに立候補したのかしら?
ま、さておき。
「それでもチームをなんとか盛り上げていきたいと思って、リーダーやらせてくださいってお願いしました」
それはありがとう。
せっかくやってみたのだから、あきらめずに、ここで苦手だったことをクリアするっていう計画はどう?
自分の箱から出てみる、っていう考え方もあるよ。降りちゃって後悔はしないかな?
「やらせてもらったことは今後の糧にしたいです。でも、もう無理なんです」
またしても「無理宣言」
彼女のこれからの成長のためには、ここを頑張って乗り越えてほしいものだと親心からは切に願うのですが、仕方ないです。
リーダーを降りたいと思った部下さんの辛さを忘れない
リーダーのなり手に悩んでいるのは、どこの企業も同じかもしれません。
本人が立候補してくれるのがありがたくて、チャレンジしてもらったのですが、残念ながらうまくいきませんでした。
心意気だけでなくて、キャラクター的な面も含めて。
本当にリーダーに向いているのか?上司の任命責任、さらにしっかり取り組まなければいけないなぁ…というのが私の反省でもあります。
とくに会社の年度変わりのときは、様々人事の出来事があるもの。
リーダーになりたい人もいれば降りたい人もいる。
リーダーを降りたいって思った本人の辛さ。それを忘れないようにして。
もしあらためて「チャレンジしたいです」と言われたときは、再び後押しするつもりです。
その後の様子
この記事を最初に書いてから1年が経ちました。
リーダーを降りて"いちプレーヤー"に戻った様子は、どこかホッとしたようで、どこかやり尽せなかった感もあるようですが
元々現場仕事でガツガツが得意だった彼女。プレーヤーに戻っての仕事は、再び充実を取り戻した感も見受けます。
周りのメンバーもマネージャーも見守ってくれているようで、ありがたいものです。
また何かあったらいつでも相談してきてね。
リーダーをやりたいと思ったり降りたいと思ったり、長い仕事人生、色々あっていいのです。
リーダーを降りたいと、自分自身が思ったときのこと
最後に、自分がリーダーを降りたいと思ったことがあるか?について。
管理職16年間で「しんどいなー」というときはチョコチョコありましたが、深刻に「もう無理、降りたい」と悩んだことが、1回だけあります。
それは、長年取り組んできた事業が組織再編でクローズすることになり、全く異なる部署へ異動することになったときです。
あまり興味の持てない分野で、しかも、ずっと一緒にやってきた部下さんたちとも離れ離れになってしまう。
異動先でも「リーダー」として任命されたものの、何のためのリーダーなんだろう?そんなの意味あるんだろうか?否定語ばかりが頭に浮かんできます。
リーダーを降りたいという気持ちだけでなく、会社を辞めることも考えたほどでした。
でも降りなかった。辞めなかった。たいそうな理由でもなんでもなく、単純に「投げ出すのが悔しかった」からです。
実際に取り組んでみたら、新しい仲間たちとも出会い、最初は「興味持てない」と思っていたことも、上辺を見ていただけでやってみると中々奥深いものがある。
その後も何回かの組織再編や部署異動があり、再び挫けそうなときも訪れましたが、今振り返ってみて、リーダーのやりがいって一朝一夕に得られるものではなく、コツコツ積み上げていくものなんだなぁと実感しています。
管理職を引き受けるかどうか悩んでいる女性に向けての記事も書いています。よろしければコチラもどうぞ。