部下さんたちと期末(目標振り返り)面談をおこなっています。
上司がつける評価がご本人の昇給に直接影響しますから、管理職の業務の中でも最も重要なことの一つ。
面談の中で、あらためて大切だと気づいたこと。それは「やらなかったこと」と「できななかったこと」の違いを見極める。
解説します。
自己評価が「未実施」となっていた件
振り返りの際には、まず、設定した目標について、実施状況と取り組みの成果についてを本人が自己評価し、次に上司が確認・フィードバックと共に数値化(実施係数や達成度)していく、というのが我が勤務先の手順です。
面談の際に一つ一つ細かく確認していくのですが、ある部下さん、仮にAさんと呼びます。目標の中の一つに対して「未実施」となっていて、取り組みのところにも具体的なことがあまり書かれておらず。
単なる「未実施」ですと、ある意味、加点なしとなってしまいますから、評価者としてはこのままにはしたくない。詳しく教えてくださいと訊ねたところ。
取り組み予定だった業務の準備をしていたけれど、できずに終わってしまった。なぜならば、他のメンバーが先行して進めていたことを後から知って、そして、そのメンバーが完結したから。との説明です。
目標が重複しないように上司の配慮が必要だった
ここでまず、私の反省。
部下さんたち全員の目標を見られるのは評価者である上司にしかできないこと。だからこそ、重複してしまっている目標業務があれば、その立て方について上司側で個別に工夫や配慮をすべきでした。
実は、目標設定の時は前任者が対応していたため、引き継ぎが十分できていなかったのですが、そんなの言い訳にはなりません。
「そっか。やろうとしたけれどできなかった(やる必要がなくなった)ということだよね。」
するとAさん
「結果的にはそうですが、やらなかったことは事実なので、未実施にチェックをつけたのです」
部下さんの中には「私、頑張りました!」的に猛アピールをしてくるタイプもいますが、Aさんはどちらかというと自己評価が厳しいタイプ。
「いやいや『やらなかった』ではなく『できなかった』なのだから。評価者(つまり、私)が途中で交代したことで、業務の担当割が曖昧になっていたこともあり、結果他のメンバーが完遂した、と書いてください。未実施のチェックは外して構いません。」
と伝えると、Aさん納得できたようで「わかりました。そうさせていただきます」と返ってきて、ホッと安堵です。
「やらなかった」と「できなかった」の違いを見極める
目標振り返り結果は評価者だけでなく、人事担当者や経営陣にもシェアされますから、面談時のレビュー内容も明確に言語化をしておく必要があります。
そして、「次の目標設定の時は、メンバー間で重複が無いように気をつけますね」と自分自身の改善点も伝えました。
評価者(上司)の中には、「やらなかった」も「できなかった」も変わりない。結果が全て。という考えの人もいます。
でも、物事には当然、結果だけでなくプロセスが存在します。
結果だけで判断するのならば、AIにだってできる。
業績評価というのは、そんな単純なことでは当然ありません。
「やらなかったこと」と「できなかったこと」の違いをしっかり見極めことも大切です。
評価はコミュニケーション
人が人を評価するって、とても難しいものだといつも悩むのですが、評価とは、ある意味コミュニケーションなのだから。以前、研修でコンサルタントから教えてもらったことがとても心に響いてて、
今回のAさんとの面談で、あらためてこのことを気づかせてもらいました。
「人を評価することの難しさ」拙著『女性管理職が悩んだ時に読む本』の89ページ~に書いていて、ショート動画にもしています。よろしければぜひご覧ください。
最後にひとこと
部下さんたちとの面談を終えて、次に待っているのが全体調整。
全員に100点を付けてあげたいのは山々なれど、限られた原資の中で給与配分をしなければならないのも、会社としての使命でもあって悩みは尽きません。