こんにちは。女性管理職18年の いくみ(ねーさん @nesan_blogger)です。
企業におけるリスク管理の取り組みは様々あって、日頃発生する「インシデント事例の共有」もそのための活動のひとつです。
ともすると「インシデント」を起こした当事者に焦点がいってしまいがちですが、それでは意味がありません。
リスク管理は何のためにあるのでしょう?
インシデント共有は気付きに活用するためにある
インシデント共有、我が勤務先でも実施されています。
小さなウッカリの時に例えば部署内のお互いで事例を共有し合って、似たようなことを起こさないように教訓とするのがその目的で、いわば「気付きに活用する」ためのもの。
インシデントについて、あらためてその概念をおさらいしますと
【発見が遅れたり気付かずに見過ごされた場合に重大な事件や事故・危機的な状況に発展する可能性やリスクを持つ出来事・事案・事象・事例のことを意味する表現】
仕事上で起こるミス、例えば、メールの宛先を間違ってしまったり、違うファイルを添付してしまったり、決められた手順を一部逸脱してしまったり。
もちろん、当事者はわざとやっているわけではありませんが、つい、ウッカリということって人間誰しもあるもの。
ただ、「つい、ウッカリ」で済まされることならばよいですが、その延長線上には重大な事態に発展せざるを得ない可能性が秘められているもの。
一時が万事、とも言われる所以です。
事例を起こした当事者を責めるものではない
ところが、時々「事例を起こした当事者を責める」みたいな風潮が起きがちで、例えば「なんでこんなにインシデントが多発するのだ??原因を究明せよ」的に叱りつけてくる上司も見受けます。
こんな上司を目にするにつけ、私は反論したくなる。
いやいや。ミスは誰にでもあるのだから「人の振り見て我が振り直せ」のための共有であって、原因究明のためだとか、誰が悪いとかが重要ではなし。
インシデント共有とは「たくさん事例が発生してしまいました、すみません」みたいな、上への答弁のためのものでもありません。
かつての尊敬するボスから言われたこと
「いくみさん。誰が悪いとかじゃなしに、同じようなこと起こさないためのお互いのリマインドのためだから」
今でも心に留めて部下さんにも伝えるようにしています。
ただ叱りつけるだけならば、誰でもできますし、そんな上司の元だったら「ミスしたことも報告したくなくなる」部下さんにそんな思いを抱かせるのはNGです。
同じミスを繰り返さないことが大事
業務が色々と複雑化していったり、初めてのプロジェクトを進めるときに、手順に慣れずに新たなミスを引き起こしてしまうこともあります。
あるいは、多忙になりすぎて気配りや丁寧さが疎かになってしまったり、誤った思い込みをしていたり。
原因はあちらこちらに潜んでいますし、職務環境やマンパワーの不足など、自分だけで解決できないことにも影響を受けるもの。
大事なのは、同じミスを繰り返さないこと。
他の誰かが報告してくれたインシデントを思い出してみて、その防止に役立てることもできます。
インシデント報告の形式は会社ごとにそれぞれ異なるかもしれませんが、多くは
- 事象の内容
- 原因として考えられること
- 発生後の初動対応
- 今後の防止策
…といった内容になっているので、せっかくの共有、よく目を通しておくと、さらにリマインドに効果ありです。
最後にひとこと
インシデントが発生したときに、まずは、いの一番に部下さんから報告を受けて、その後の対処を一緒にやっていくのも上司の務め。
リスク管理とは、チームを挙げて取り組んでいくもので、ミスを起こした個々の社員を置き去りにしないことも忘れてはなりません。