こんにちは。管理職15年の いくみ(@nesan_blogger)です。
上司として最もつらいことの一つが、部下さんの退職。
一緒に仕事をしてその成長を見守ってきて、それでもお別れしなければならないときが訪れる。
とある部下さんの旅立ちに私が伝えた言葉が「いつでも帰ってきていいよ切符を渡しておくね」
ご紹介します。
退職申し出のときは、もう決断したあと
長年上司の立場をやってきて、残念ながら多くの部下さんたちから退職意思を受け止めてきました。
人と人が出会ってお別れしなければならないのって、何度遭遇してもつらいです。
「ねーさん、ちょっとご相談があって…」とかしこまって言われたときは、そんな話であることが多い。
しかも、もうすでにご自身が決断していて、"結果報告"みたいになっちゃうもの。
その前に何か自分ができることはなかったのだろうか?
もし、こうだったら、部下さんが辞めるに至らず済んだのだろうか?
つい「タラレバ」なことを自問自答してしまいます。
私自身も転職を何回か経験していて、決めるまでにいろいろな理由が重なっていて、上司がこうだったらとか、会社がこうだったら…ということだけじゃなかったから、退職を止められないことって、仕方ないのかもしれません。
クライアントさんから教えてもらった「いつでも帰ってきていいよ切符」
悶々としつつ、尊敬するクライアントさんと世間話をする機会がありました。
そのクライアントさんも同じようなお悩みをお持ちで、残念ながら部下さんとのお別れがしばしば訪れるとのこと。
「ねーさんさぁ、そんなときにね、私がやっているのが『いつでも帰ってきていいよ切符』を渡すこと」
退職する理由は様々あって、誰にでも渡すわけではないけれど。
同じような仕事をこれからも志したいと思っていて、より大きなフィールドにチャレンジしたい…そんな理由のときはね。またうちの会社でやってみたいってこともあるかもしれないから。
部下さんのことをいつも何より大切にしている方。
この言葉は心に響きました。
部下さんへ「いつでも帰ってきていいよ切符」を渡す
それからしばらく経ったころ。
とある部下さんから退職の申し出がありました。
新人さんのころは何かと不器用でハラハラしどおしだったけれど、その後ぐんぐん成長してくれて、無理なことお願いしたときもサラッとOKしてくれたり。
とても頼りになる存在でした。
「同じ業界でさらに大きな責任を担えるような、そんな転職を決めました」
理由を聴いたときに、あのクライアントさんの言葉が蘇ってきます。
「わかりました。でもね、あなたに『いつでも帰ってきていいよ切符』を渡しておく。期限はナシだから使いたいときがきたら教えて」
唐突な私の投げかけに、かなりキョトンとしていた彼。
いつか切符使ってくれたら嬉しいなぁと淡い期待を込めて、旅立っていく姿を見送りました。
最後にひとこと
この出来事があってから、すでに5年ほど経ちます。
残念ながら、ご本人とはその後連絡をとる機会もなく「切符」のこともとうに忘れてしまっているかもしれません。
それならそれで、充実したビジネスライフを送っているのでしょうし、その後、他の部下さんには切符を渡すこともありませんでした。
私が唯一贈った「切符」の部下さんと、ある時期だけでも一緒に過ごせたことに感謝です。