本を読んだり、ネットを見たり…日頃「細かい文字」を見ることが多くて、ちょっと活字疲れなことってありませんか?
でも、本を読むのは好き。
そんなときに、ゆるーい雰囲気でリラックスできる一冊を紹介します。
「発想力や思考力のヒントになるような箴言(しんげん)集」
その本とは、外山滋比古さんの『こうやって、考える』
表紙のイラストからして、なんともゆるーい雰囲気が目に留まりました。
外山さんは、言語学者/評論家/エッセイスト。
本書は、外山さんの数多ある作品のなかから短文を集めた、いわば「エッセンス集」のようなもの。
しかも、ご自身ではなく、出版社さんがセレクトしたそうで、前書きには以下のように記されています。
「発想力や思考力のヒントになるような箴言(しんげん)集を、これまでの著作のなかから抜粋して作らせてほしい」
※箴言:戒めの言葉。教訓の意味をもつ短い言葉。格言。
この申し出に、外山さんは「あとはよろしく」とだけお願いされたとのこと。実際に挙がってきたそれらのものを眺めていて、面白いことに気付いたそうです。
「引用された短文が、もとの本文の中にあったときとは違った、新しいニュアンスをともなっているのである」
自分の書物から抜粋されたものが、また違う雰囲気を醸し出すとは、なかなかに興味深いものです。
ゆるーい雰囲気でリラックスしながら、「ふむふむ」と頷ける
見開き2頁に数行ほどが書かれてあって、とても見やすく、余白が多いせいかリラックスしながら読み進められるのも嬉しい。
内容も「ふむふむ」と頷けることが散りばめられています。例えば、こんな感じ。
「場所を選ぶ」
文章を練るとき、もっともよく妙案の浮かぶのは三上である。(中略)三上とは、枕上、鞍上、厠上(中略)
眠ろう、どこかへ行こう、用を足そう。そう思っているとき、思いがけず心は澄むらしい。「放っておく」
外国に"見つめるナベは煮えない"ということわざがある。早く煮えないかと、たえずナベのふたをとっていては、いつまでたっても煮えない。
(中略)考えるときも同じことが言えそうだ。あんまり考えつめては、問題の方がひっこんでしまう。出るべき芽も出られない。
-本書より引用
ウィットにも富んでいて、思わずクスっと顔が緩みそうになります。
今日の一言
こんな読書もいいもんだ。
本書と同様な一冊『やわらかく、考える』もぜひおすすめです。