採用面接の面接官を務めることがあります。
志望動機を訊ねると、しばしば返ってくるのが「自分の専門性が活かせると思って」という応え。
言いたいことは分からなくはないけれど、このフレーズには少々違和感があります。
今回は、そんなお話です。
目先のことだけに捕らわれてはいけない
最近面接した応募者さんも、何かを聞くたびに「専門性」を連呼しています。
- 今の会社に入社した経緯は?
→学生時代に学んだ専門性を活かせると思ったからです - なぜ、転職しようと思われたのですか?
→実際には日々業務をさばくことに精一杯で、専門性の向上どころじゃなくなってしまいまして… - では、弊社を志望した理由は?
→自分の専門性を、御社の業務であればさらに磨けると思いました
なるほど。
一見理にかなっているふうな説明でも、なんとなく目先のことだけに捕らわれているような印象が否めません。
仕事を積み重ねることによって、自分を磨くことができる
取り組むべき業務はたくさん存在していて、まずそれらをさばくのが第一優先。
少なくとも自分が志した分野の業界に居るのだったら、業務をさばけるのは専門性が発揮できているから…とも言える。
自分のイメージしている「専門性の発揮法」というのと異なるかもしれないけれど、そもそも。
仕事というのは自分磨きが一番の目的でなく、積み重ねてゆくことで、結果として自己研鑽が得られるものなのです。
技術だけでなく、人の専門家にもなる
一方、会社仕事は自分1人だけでおこなっているわけではないので、「人」のことについても、うまくさばいていくことも大切。
- 人と人をどうつなげば、円滑にいくか
- 人の気持ちをどう汲み取れば、よりモチベーションが上がって生産性もアップできるか
- こういうときは人の配置を入れ替えてみるとよさそうだ
…etc.
若いうちは自分のことに精一杯なのはOKですが、ゆくゆくは、もっている技術を研ぎ澄ますことだけでなく「人の専門家」も目指してほしい。
面接の短い時間のなかでも、そんなマインドが感じられる人であれば、ぜひ一緒に仕事をしたいなーと思います。
今日の一言
「弊社の仕事も切り口が多々あるから、目先の『職種名』だけでは推し量れず、必ずしもご自身の専門性向上とはならないこともありますよ。とにかくクライアントさんから要望されたことにチーム一丸となって、キッチリ応えるのが一番の使命なので」
少々意地悪く、そんなふうに説明したところ、
「はい。がんばります」
おいおい、本当に分かっているんかいな(笑)
せっかくご縁があるのならば、活躍してほしいと願います。