ビジネス数学のご専門家・深沢真太郎さん。
「ビジネス数学」とは、”論理思考/数的思考/数学的スキル”の3つの能力を身に着けて”数字と論理をビジネスシーンに活用しよう!”という教育プログラム。
本書は、国内でただ1人の「ビジネス数学エグゼクティブインストラクター」であられる真太郎さんが”唯一無二の深沢メソッド”についてを、漫画を用いたストーリー仕立てでわかりやすく伝授してくださる珠玉の一冊です。
数会話
主人公はプロジェクトリーダーに抜擢された、若きビジネスパーソン・晴美。
ほぼ意気込みだけで作成した企画書に、クールな上司からは「お前のポエムに付き合っている暇はない。やりなおーし」と一蹴されてしまう。
そんな晴美を温かく見守って応援してくれるのが、先輩であり算数の先生・秋葉さん。
晴美の悩みに秋葉さんが次々にアドバイスをしてくれ、新規プロジェクトのプレゼンを成功へと導いてゆく…という展開にドキドキワクワク。
秋葉さんの理念は「数字をつかって相手が納得するように伝える」題して「数会話」
数字って、万国共通。いつでもどこでも普遍的に使えるコミュニケーションツール。
「数会話」言い得て妙です。
定量化
「数会話」の際はなにも綿密な計算をせずともよい。
”会話”にはスピード感が必要なことも多いので、すばやくざっくり「概算」。そんなときのキーワードが
「仮に…」。
たとえば、カフェの1時間あたりの売上をシミュレーションするとしたら。
座席数:50席
滞在時間:一人30分間
一人あたりの売上:400円
以上を「仮に」とすると、想定売り上げが導き出されます。
これが「定量化」
なにかを話し合う際に、「仮に」で始まる”イントロダクション”で、量になっていないものを量で表現するということが大切なのですよね。
勉強より習慣
こうした、「定量化」を心掛けるには、なにかの勉強をするのではなく、日ごろから「数字で捉える」という習慣をつけるとよい。
- 自宅から最寄り駅までの歩数
- 駅の階段上り下りの段数
…etc.こうしたささいな気づきにより、脳と数字を仲良くさせることができる。著者はスキマ時間を使って、こうした習慣を実践されているそうです。
ワタシもさっそく、日々に取り入れてみなくっちゃ。
グラフを使うな?
定量化の習慣もついて、数会話も心がけることができる。
一方、プレゼンではより、そうした点を活かして分かり易い資料を作る必要があります。
私もよく用いている「グラフ」
なんとなく「グラフ」が入っていると”デキるっぽい”気がしちゃいます。
でも、それって本当に必要なのでしょうか?
本書では、グラフの特性を知って必要なときにだけ活用するとよい。と教えてくれます。
- 大小比較:棒グラフ
- 推移:折れ線グラフ
- シェア(占有率):円グラフ
こんな特性、まったく考えずに乱用していました。
自己満足ではなく、観る人にとって本当に必要だと思えるときにだけ、グラフを使うようにしなければ。
反省です。
定義/前提→ゴール、を論理でつなげる
プレゼンの資料作成では、グラフだけでなく、どういう構成にするか?ということも大切。
「伝えたいことを数で具体的に語る」ためには、
定義/前提ーゴールの間の要素を論理がつなげているという流れが効果的。
論理でつなげるのためにキーワードとなるのが、接続詞。
具体例として、以下のような文例を示してくださいます。
いま、がん罹患患者数が増加しています。
(だから)
あなたもがんと診断される可能性があります。
(しかし)
5年間で再発しなければ、完治する確率は9割以上と言われています。
(ゆえに)
診断後の5年間を手厚く保障する保険が必要です。
(結論)
当社の保険をおすすめします。
ふむふむ。流れるように進んでゆくのが、聴いている側からしてもとてもクリアです。
「定義/前提→ゴール、を論理でつなげる」プレゼンを。ぜひ心がけてみよう。
伝えるための黄金比
さて。数会話や定量化、論理でつなげる。コツを抑えたけれど。
それだけで完璧に伝わるとはいえない。
最後は「ハート」。
伝えるための黄金比は「数学」が9割、「ハート」が1割。と最後に結んでくれています。
実際の人間社会では、「筋が通っていない行動」がたくさんあります。
(中略)つまり、人間は数学的にできていないのです。
人間だもの。感情もあるし、理不尽なこともやっちゃいがち。
でも、説明って誰にでも共通で普遍的であることが望ましい。そのために数字は心強い味方になってくれる。
ただ、それだけじゃなくて、「人間だもの」も盛り込んでこそ。
それが「伝わる」ということなのですよね。
最後にひとこと
めっちゃ数学的でないド文系なワタシ。
でも、この本を読んで、もっと数字と仲良くしたい!と思えました。
ワタシのように「数字苦手ーーー!」という方に、ぜひおススメの一冊です。