なぜ「親切」にすると「脳」によいのだろう?
その理由を知りたい。
本書の帯に書かれてある、精神科医・作家の樺沢紫苑先生のメッセージがさらに興味をそそります。
読むと猛烈に親切がしたくなる!
インパクトのあるタイトルが、なんか怪しげなお話?と勘違いしてしまいそうですが、著者は科学のご専門家。「親切」がもたらす効能を科学的根拠から示してくれる本なのです。
さっそく読んでみました。
5つの副作用
原題が「THE FIVE SIDE EFFECTS OF KINDNESS」(親切の5つの副作用)。なおさら強烈だわー(笑)
この点は「はじめに」で著者が以下のように解説しています。
「効果」より「副作用」のほうが人の注意を引きそうだと考えたから。副作用というと、ふつうは薬の好ましくない作用という意味でとらえられるが、この用語の汚名をそそげると思うと気分がいい。副作用とは本来めざしていることと一緒に副次的に起きるものだ。
つまり親切をすることによって、なにかを期待しているわけではなくとも、現実にはいろいろなことがもたらされる。ということを言い表したかったそうです。
具体的なその「副作用」とは、
- 幸せになる
- 心臓と血管を強くする
- 老化を遅らせる
- 人間関係をよくする
- 伝染する(プラスの連鎖を引き起こす)
なんと!いいことづくめ。
各章ではそれぞれについて詳しく解説がなされています。
”愛のホルモン”脳内物質「オキシトシン」
「脳に効く」いちばん大きな科学的根拠が、親切によって、オキシトシンという脳内物質が作られるという点。
オキシトシンは”愛のホルモン”とも呼ばれていて、愛情や幸せを感じたり、あたたかい気持になると分泌されるもの。
この、オキシトシンの働きによって心臓や血管にもよい影響を及ぼし、免疫系も活性化され老化を遅らせることができ、周りの人たちにも波及効果をもたらす。と著者は説いてくれる。
科学反応の連鎖。
本書への賛辞として書かれてあった「カインドフルネス」という言葉がまさに言い得て妙です。
身近でとりくめること
でも、親切って気張って意識して行うというより、親切アンテナをいつも立てておこう。ということでよいのだと思います。
身近でどんなことが挙げられるだろう。
エレベーターで「開」ボタンを押して最後に降りる。
網棚に荷物を上げようとしている人を手伝う。
落し物を気付いた直後に持ち主を追いかけて渡す。
満員電車で気分の悪そうな人がいたら声をかける。
…なんだかpoorな発想ばかりでお恥ずかしいですが、とにかく日々の親切。そんなふうに考えてみるだけでも、あたたかい気持ちになれます。
今日の一言
「情けは人のためならず」
情をかけておけば,それがめぐりめぐってまた自分にもよい報いが来る。人に親切にしておけば必ずよい報いがある。の意。
この表現が本書でも出てくるのですが、先人たちの教えって、案外科学的根拠とも相関関係があったのかもしれません。
そんなことを思い描いたのも、本書を読んでのまたひとつの気付きでした。