「緊張」って日常茶飯事にやってきますよね。
ちょっとした気負いやアガリだったり、よりシリアスになると足がガタガタ震えたり頭が真っ白になるなど…。
チャレンジしようとするときはもちろんのこと、つらいこと、苦しいことのみならず、うれしいことに対しても起こるもの。
本書はそんな「緊張」についてを、脳科学根拠から仕組みを解明したうえで、”共存して味方につけ、最高のパフォーマンスを発揮できるようになろう”という、精神科医・樺沢紫苑先生ならではの力強いメッセージなのです。
緊張しやすい方もそうでない方も。ぜひ手にとっていただきたい一冊。
さっそくご紹介いたします。
「緊張」が起こる場面
本書の「はじめに」に書かれてあるとおり、全国の20歳以上男女を対象にしたアンケートでは、なんと82%以上の人が「緊張しやすい」と答えたそうです。
つまり、ほとんどの人たちにとって、「緊張」とは切っても切れないもの。
樺沢先生は、緊張場面というのは主に以下の7パターンになると分類してくださいます。
- プレゼンテーション
- 試験・テスト・面接
- 発表会・演奏会
- 1対1や初めての人と会うときの対人場面
- 新しい仕事、経験のない仕事をするとき
- 苦手なことを無理やりさせられる場面
- スポーツや勝負事
まさに、日常で起こるさまざまな「チャレンジ」のときに緊張はやってくるのですよね。
緊張の原因はたった3つ
そんな「緊張」を科学的に分析するならば、原因は3つしかない!
- 交感神経が優位
- セロトニンが低い
- ノルアドレナリンが高い
たった3つ…とても意外な感じもしますが、
「緊張」とは、上記3つの「神経と脳内物質の変化」にすぎないのだと本書では教えてくれます。
交感神経(昼の神経)は、副交感神経(夜の神経)と対になって自律神経を構成しており、互いに相反する働きで、血管や内臓の働きを支配しているもの。
セロトニン、ノルアドレナリンは脳内物質。
脳内では様々なホルモン(脳内物質)が分泌されていて、その働きに応じて心身のパフォーマンスが司られているもの。
セロトニンは「落ち着き」と「平常心」をもたらしてくれる。
ノルアドレナリンはいわゆる「緊張そのもの」、「闘争か逃走か」生きるか死ぬかの限界状況から救ってくれる、危機回避のための緊急物質。
(樺沢先生の書、『脳を最適化すれば能力は2倍になる』より)
第2章以降では、この3つの項目についての対策(戦略)を具体的にガイドしてくれます。
緊張を味方にする3つの戦略
副交感神経を優位にする
交感神経優位である緊張状態を緩和するには、副交感神経の出番。
そのために、自分自身でコントロールができ効果を発揮してくれるのが「深呼吸」。
とくに日頃からいつでもどこでもできる「1分間深呼吸法」の具体的な行い方がとても参考になりました。
しかし、咄嗟に実践しようとしてもなかなかできないもの。そのためには、満員電車は「深呼吸練習」の絶好の場になってくれるようです。
さっそくやってみました。ただでさえイライラが募る通勤ラッシュ。
深呼吸をこまめに行うだけで、確かにリラックスができてありがたい!
その他にも、「ゆっくり話す」「筋肉をほぐす」「笑顔トレーニング」などの具体的な方法や、「自律神経訓練法」についても書かれてあり、やはりどれもすぐに取り組めるものばかりです。
セロトニンを活性化する
次に、セロトニンを活性化する方法。
セロトニンは癒しの脳内物質。その働きによって、落ち着きと平常心を保つことができて、緊張を解き放つことができるのですね。
具体的には、「朝陽を浴びる」「リズム運動」「姿勢を正す」など、日々の心がけで習慣化できるものばかりです。
セロトニンが不足してしまうと、メンタル疾患に陥り易くなってしまう。
緊張対策のみならず、心身の健康対策のためにも、とても大切なホルモン。ぜひ、活躍してもらわなくっちゃ(笑)
ノルアドレナリンをコントロール
三番目が、ノルアドレナリンをコントロールする方法。
ノルアドレナリンは危険に直面したときにフル稼働して身体機能を高めてくれる。
その、ノルアドレナリン、どのように緊張緩和と関連しているのだろうか?
本書より引用した以下の部分がその答えを教えてくれます。
「緊張」というのは「敵」ではない。「生きる」ために絶対必要な、「最大パフォーマンスを発揮するための準備状態」が「緊張」の正体であり、それを現実化する物質がノルアドレナリンです。
つまり、ノルアドレナリンを適切にコントロールをすることが、緊張を緩めることにつながるのですね。
具体的には、「事前の準備徹底」「的確なフィードバックによる成功と失敗の活用」「成功のイメージトレーニング」「正しい情報を収集する」「ルーティンを作り実行する」といった点。
まさに「備えあれば憂いなし」とも共通することなんだろうな。
さらに効果的なアクションが「ポジティブワードをつぶやく」
- きっとすべて上手くいく
- ワタシは大丈夫
- 必ず達成できる
…etc.
これを「アファメーション」と言うそうですが、こうした言葉を発するだけで、確かにパワーが湧いてきます。
加えて、何かのチャレンジの機会が訪れたときは、率先して「ワタシがやります!」と手を挙げることによって、脳が「楽しい」と判断してくれる。これは、幸福・快感を司どる脳内物質「ドーパミン」が作用してくれるゆえ。
「ほどよい緊張」と「楽しい」が両立された状態(ゾーン)。これは、ノルアドレナリン・セロトニン・ドーパミンがバランスよく存在した状態、と考えられるとのこと。
よっしゃ!
こうしたメカニズムが理解できてくると、なんだか緊張と仲良くお付き合いできそうな気がしてきましたw
緊張に負けないメンタルを手に入れる
これら3つの戦略に加えて、メンタルの切り替えによる”過緊張”の消失についても解説をしてくださいます。
とくに刺さったこと。
緊張する場面での心の持ち方、キーワードは「相手のために」と「感謝する」
自分視点で考えるから緊張するのだ。相手のために、相手に感謝して…と考えることで、確かに、心が落ち着いてすーっと気持ちが楽になれます。
まさに眼から鱗。本書のなかでもっともワタシが感銘を受けた箇所です。
さっそくやってみた
緊張する場面というのは日々訪れがちですが、本書を読んでいた、とある日。
初めてお会いするクライアントさんとのアポイントの際に、さっそく学んだことを実践してみました。
関連各部署がすでにさまざま大きな取引をしている”プレミアムクライアント”。粗相をするわけにはいきません。
しかも同行する部下さんが初めての営業活動ということもあり、数日前からカッチカチに緊張しちゃっている。
「とにかくリラックス、深呼吸深呼吸!」と彼女に声をかけつつ、事前準備や情報収集をガッツリ行い、当日は朝の通勤電車からクライアントさんのビルに入るエスカレーターまで、とにかくイメトレと深呼吸。
そのおかげか、事前には「30分しか時間がありません」と宣言されていたにもかかわらず、実際には1時間30分もの長時間、熱心に当社の提案を聴いてくださいました。
もちろん、その場で結果が出るものではありませんでしたが、貴重な機会をいただけたクライアントさんに、まさに感謝です。
今日の一言
「緊張」はありがたい友。「緊張」は力。
本書を読んでその仕組みやお付き合いの仕方を知ることができ、あらためて”緊張に敬服”です(笑)
終章では、シチュエーション別の「緊張」対策法も伝授してくださり、社会人のみならず、受験生や就活生などにもとても役に立つことが満載。
緊張しやすい方も、そうでない方も。
本書を読んで、「緊張」とともに、より人生を楽しく過ごしていきませんか?