会社員として日々働く中で、「この先、自分ひとりで仕事をしていく可能性」についてふと立ち止まる瞬間があります。
今すぐではないけれど、きっといつか来るかもしれない未来。そのときのために、どんな準備をしておけばいいのか?
そんな問いに、静かに道筋を示してくれる一冊『稼げるようになる「ひとりビジネス」成功の教科書』(高橋貴子著)をご紹介します。
焦りこそが、迷子の始まり
最も心に残ったのは、「ひとりビジネスを立て直すには、まず心を整えることから始めるべき」というメッセージでした。
売上が落ちた、仕事が途切れた、何かうまくいかない――そんなとき、人はつい焦ってしまうものです。「今月の支払いをどうしよう」「何か行動しなきゃ」と、目先の策に飛びついてしまう。
ですが、その焦りのまま動くと、ますます迷子になってしまう。まずは心をリセットして、落ち着きを取り戻し、自分の状況を見つめ直す。この”当たり前のようで実はできていないこと”を、本書は丁寧に掘り下げてくれます。
心を置いてきぼりにせず、焦りを手放してこそ、冷静に最適な判断ができる。このメッセージは、ひとりビジネスに限らず、会社員としてキャリアを考える上でも深く響きました。
7つのステップで描く「正しい順番」
本書は、5000人のひとりビジネスを成功に導いてきたリブランディングの専門家が、具体的なワークとヒントを盛り込んだ実践書です。
そして、その核心にあるのが「正しい順番で着手すれば、ひとりビジネスは立て直せる」という考え方。
本書が示す7つのステップは以下の通りです。
1:心のリセット
2:売れない原因解明
3:ブランド再構築
4:売れる戦略デザイン
5:戦略を行動に変える
6:成果の持続化
7:売れ続ける長期的ビジョン
この順番が、とても理にかなっていると感じました。多くの人が「売れる戦略」や「集客方法」といった”やり方”から入りたくなるものです。でも、心が整っていなければ、どんな戦略も的外れになってしまう。原因がわかっていなければ、同じ失敗を繰り返してしまう。
本書は、そうした”飛ばしてしまいがちなステップ”をひとつずつ順番に整えることで、マイナス状態をプラスに、プラスをより大きなプラスに変えていく道筋を示してくれます。
会社員にこそ必要な「自分軸」の棚卸し
単なる理論ではなく、読者自身が手を動かしながら現状を整理できるワークが豊富で、読みながら自然とビジネスの輪郭がクリアになっていくのです。
会社員である私にとっても、これらのステップは決して他人事ではありません。
ビジネスの基本や、自分自身の棚卸しの仕方、未来の描き方は、職種や働き方が違っても共通する部分があります。特に「売れない原因解明」や「ブランド再構築」のプロセスは、自分が何を強みとし、誰に対してどんな価値を提供できるのかを見つめ直す作業そのものでした。
むしろ、会社という安心の枠組みがあるうちにこそ、自分の軸を明確にしておく価値を強く感じました。会社員のまま副業を始める場合も、いずれ独立を考える場合も、焦って走り出す前にこの本のワークに取り組むことで、ブレない土台を作ることができます。
静かに立ち止まって棚卸しをしてみるきっかけをくれる
この本は、これから副業やひとりビジネスを考えている会社員の方に特におすすめです。
今の自分が何を大切にしたいのか、どんな働き方を望んでいるのか、静かに棚卸しをしてみるきっかけをくれる一冊。
未来の自分のために、今できることを始めたい。そう思ったとき、ぜひ手に取ってみてください。
鮮やかな”オレンジゴールド箔押し”の表紙にもワクワクをもらえます。
稼げるようになる「ひとりビジネス」成功の教科書/日本実業出版社/高橋貴子



