こんにちは。女性管理職21年の いくみ(@nesan_blogger)です。
上司として部下さんに何かを伝えるとき、「正しさ」と「温度」、どちらを優先していますか?
正論は確かに正しい。でも、冷たい言葉では相手の心に届かない。
私自身が部下だった頃の経験と、管理職として21年間部下さんと向き合ってきた中で気づいた「言葉の温度」の大切さについて、解説します。
正論だけでは、チームは動かない
実は私自身、かつて「正論」をとても大切にする上司のもとで働いていたことがあります。
その方の言うことは、いつも正しい。
業務の進め方、判断基準、指摘の内容…すべて理にかなっていて、反論の余地などありません。
なのですが。
チームがなかなかうまくいかないのです。私も含め、部下さんたちはどこか萎縮していて、自分から意見を言い出せない空気が漂っていました。
何が問題だったのか?
それは、言葉に「温度」がなかったから。
正しいことを、正しく伝える。
それは間違いではないのだけれど、冷静すぎる、感情の込もっていない言葉は、どこか突き放されたような印象を与えてしまうのです。
「また指摘された」「またダメ出しされた」
そんな気持ちばかりが募って、肝心の内容が心に入ってこない。
これでは、どんなに正論であっても、部下の行動は変わりません。
「言葉に温度をのせられる人」が、チームを動かす
ある時、尊敬する先輩からこんな言葉をもらいました。
「言葉に温度をのせられる人が、チームを動かすんだよ」
なるほど!と、心から納得です。
思い返してみれば、私が「この人についていきたい」と思った上司たちは、みんな言葉に温かさがあった。励ましてくれるとき、労ってくれるとき。
そうした場面では、自然とあったかい気持ちを込めて言葉を伝えることができます。
ところが。
注意喚起を促すとき、何かを指摘するとき。
こうした場面では、つい、気持ちが込もらず、つい言葉だけが先走ってしまうこと、ありがちなのです。
「これは違いますよ」
「この進め方では問題があります」
内容は正しい。でも、冷たい。
そんな言葉になってしまっていないか、あらためて振り返ってみる必要があります。
言葉に温度を込めるための具体的な方法
では、どうすれば言葉に温度を込めることができるのでしょうか?ポイントを5つにまとめます。
相手を変えようとするのではなく、気づく「余白」をつくる
まず大切なのは、相手を変えようと躍起になるのではなく、相手が自分で気づける「余白」をつくること。そのためには、言葉に温度がこもってこそ、なのです。
例えば、部下さんのミスを指摘する場面。
NG「これ、間違ってますよ。直してください」
OK「ここの部分、一緒に確認してみようか。何か気になることない?」
後者の方が、部下さん自身が「あ、ここが違うかも」と気づける余白がありますよね。そして、そこには「一緒に」という温かさが込められています。
人間同士であることを忘れない
正論を正すのが上司だから、冷静に伝えるのが必要。
そんなふうにもし、思っているようだったら、ちょっと違います。
人間同士ですから。
感情のない機械のように接するのではなく、相手も自分も同じ人間なのだという当たり前のことを、忘れないでいたいです。
言葉を発する前に、一呼吸置く
特に、注意や指摘をする場面では、言葉を発する前に一呼吸。
「今、私はどんな気持ちでこの言葉を伝えようとしているのか?」自分の心に問いかけてみましょう。
もし、イライラや焦りが先行しているようなら、少し時間を置く。落ち着いて、相手のことを思いやる気持ちが戻ってきてから伝える。
それだけで、言葉の温度は大きく変わります。
「あなたのことを思っている」が伝わる言葉選び
温度のある言葉とは、結局のところ「あなたのことを思っている」という気持ちが伝わる言葉。
「心配しているんだけど」
「一緒に考えたいんだけど」
「あなたなら、もっとできると思ってるから」
こうした一言を添えるだけで、同じ内容でも受け取り方は全く違ってきます。
どんな状況であっても、言葉に温度を込める
正論を正すのが上司の役目、確かにそうかもしれません。
でも、それ以上に大切なのは、その正論が相手の心に届き、相手の行動の何かの参考にしてもらえること。
そのためには、どんな状況であっても、言葉に温度を込める。それが伝わって初めて、部下さんは「この人の言葉を受け止めよう」と思ってくれるのです。
最後にひとこと
部下さんが心を開いてくれる。
困ったときに相談してくれる。
言葉に温度を込めること。簡単なようで、実はとても奥深い。でも、意識するだけで確実に変わります。
あなたも今日から、ほんの少しだけでも「温度」を意識してみませんか?