こんにちは。女性管理職20年の いくみ(@nesan_blogger)です。
「周りのメンバーにもっと振ってはどうかしら?1人で抱え込まないでくださいね」
部下さんがいっぱいいっぱいになっているとき、つい、こんな言葉をかけてしまうことはありませんか?
でも、実はこの言葉かけ、部下さんの心にはまったく響いていないかもしれません。むしろ、さらなる重荷になっていることも…。
大切なのは、”投げかけ型”ではなく”関わり型”の言葉がけ。解説します。
部下さんがいっぱいいっぱいのとき、多くの上司が陥る「投げかけ型」の言葉がけ
業務過多で疲弊している部下さんを見たとき、管理職の私たちがよくやってしまうのが「アドバイス」のつもりの「投げかけ型」の言葉がけです。
「もっと周りに仕事を振ったら?」
「スケジュールの組み方を工夫してみたら?」
「優先順位をつけて、後回しにできるものは後にしては?」
あなたも口にしたことがありませんか?
実は、励ましのつもりでかけたこうした言葉が、すでに限界状態にある部下さんにとっては逆効果なのです。なぜなら、そのアドバイスを実行するためのリソースすら、もはや部下さんには残されていないから。
この記事では、「投げかけ型」ではなく「関わり型」の言葉がけをすることで、部下さんの心に響く、本当に支援になるコツをお伝えします。
実践することで、
- 部下さんの心の負担を軽減できる
- 実際に業務状況を改善できる具体的なサポートができる
- 上司と部下の信頼関係を強化できる
…といったことが可能になります。
なぜ「投げかけ型」の言葉がけがダメなのか?
ここで少し掘り下げて考えてみましょう。部下さんがいっぱいいっぱいになっているとき、その状況は本人が一番よくわかっています。
「周りにもっと仕事を振ったほうがいい」
「優先順位をつけるべき」
これらのことは、ご本人も重々承知しているのです。それでもできていないのは、そうする余裕すらない、あるいは他の複雑な要因があるからかもしれません。
Xで投稿してみたところ、こんな反響が届きました。
「いっぱいいっぱいの時に、〜してみたら?と言われても、なかなか出来なかったり混乱したりしますよね。心強くなるような言葉をもらえると嬉しくなります。」
まさにこの通りなのです。
部下がいっぱいいっぱいになっていそうな時
「周りのメンバーにもっと振ってはどうかしら?1人で抱え込まないでくださいね」
つい、そんな言葉をかけてしまう言われなくたってご本人わかってて
それでも
どうにもできなくなってるのかもしれないからたとえば… pic.twitter.com/KB5uyXb7hD
— いくみ@女性管理職&ビジネス書著者 (@nesan_blogger) April 14, 2025
効果的な「関わり型」の言葉がけとは?
では、どのような言葉がけが効果的なのでしょうか?
私が20年の管理職経験で学んだことは、「部下に行動を投げかけるのではなく、上司も自分事として関わる」という姿勢を言葉に表すことの大切さです。
具体的な例をいくつかご紹介します。
「チーム全体のリソースを上手く活用できるように、私もサポートしますね」
これは単なる「もっと周りに振って」という投げかけではなく、上司自身も一緒に解決策を考え、実行することを約束する言葉です。
「明日30分時間を作るので、優先順位を一緒に整理しましょうか」
優先順位をつけてと言うだけでなく、そのプロセスに上司自身が関わることで、部下さんの精神的・実務的負担を減らします。
「いま大変なのはどの部分ですか?私にできることがあれば教えてください」
ここでは具体的な解決策を提示する前に、まず部下さんの状況をしっかり理解しようとする姿勢が表れています。
今日から実践できる「関わり型」言葉がけのポイント
「関わり型」の言葉がけを実践するためのポイントをまとめます。
- 「〜したら?」という提案形ではなく、「一緒に〜しましょう」という協働形で話す
- 具体的なサポート内容と時間を明示する
- 部下の状況をまず理解しようとする姿勢を示す
- 上司として動ける範囲を明確に伝える
- フォローアップの時期も伝える
さらに具体例として、
「明日の午後2時から30分、今抱えているタスクを一緒に整理して、私がサポートできる部分を探しましょう。その後、週に一度進捗を確認して、必要なリソースを調整していきます」
この言葉がけには、時間、具体的な行動、継続的なサポートの約束が含まれています。
まとめ:部下さんの「いっぱいいっぱい」は上司のチャンス
部下さんがいっぱいいっぱいになったとき、それは実は上司であるあなたが信頼関係を深め、チーム力を向上させるチャンスでもあります。
「投げかけ型」の言葉がけではなく「関わり型」の言葉がけをすることで、部下さんは「一人ではない」と感じ、心理的安全性を得ることができて、そしてこの安心感こそが、難局を乗り越える力ともなる。
上司としての言葉がけ一つで、部下さんの心持ちは大きく変わります。そして、その変化が組織全体の雰囲気やパフォーマンスにつながっていくのです。
ぜひ明日から「関わり型」の言葉がけを実践してみてください。部下さんの表情の変化に、きっと気づくに違いないでしょう。