大政奉還から150年となる2017年11月に放映されたテレビ番組『偉人達の健康診断』(NHK BSプレミアム)』を観ました。
徳川幕府の終焉と明治維新の幕開けとなった「大政奉還」は1867年10月のこと。
その主人公たちでもある、徳川慶喜と勝海舟。
お二方とも77歳の天寿を全うされたそうです。
大政奉還の時、徳川慶喜は31歳、勝海舟は45歳。歴史の歯車を大きく回した2人はともに77歳(数え年)まで、長い第二の人生を生きた。その健康の秘訣を探る。
(朝日新聞のテレビ欄より)
この時代の77歳は、おそらく、現代の100歳にも匹敵するのではないか。
150年前の歴史的な出来事の渦中にあった偉人たち。
放送で語られていたポイントや感想について。
ご紹介します。
勝海舟の”デュアルタスク”
徳川慶喜政権のNo.2であったとされる勝海舟。
会社でいえば、バリバリの年代に経営のトップを張っていたのが急に「明治維新」という組織改編によって仕事を干されたようなもの。
さぞかし、やるせ無かったのではないでしょうか。
しかし勝海舟は、得意な”書”をかくことで、第二の人生を楽しんでいたようです。
その数ナント、月間700枚にも及ぶことも!
そして、ただ書をかくだけでなく、書を差し上げる相手を目の前におしゃべりしながら書く、という、「デュアルタスク」をこなしていたとのこと。
この、「デュアルタスク」というのは、脳トレにとても良いそうで、現代でも認知症予防などによく取り入られるメソッドだそうです。
たとえば、
- しりとりしながらウォーキングする。
- 計算しながらストレッチをする。
など。
おそらく、当時の勝さんは、そんな言葉はご存知なかったのだと思いますが、きっとそれが楽しくワクワクすることだったのでしょうね。
余談ですが、勝海舟は自称「スーパー老人」
新聞にズバズバもの言いの投稿をしょっちゅう書いていたそうな。
まるで、Twitter名人?みたいです(笑)
徳川慶喜の”豚肉好き”と”多彩な趣味”
一方、時の将軍、徳川慶喜は、とにかく豚肉大好きだったそうです。
体型も常にとてもスリム。これを保つ秘訣が、
「和食と豚肉」
豚肉は、糖質代謝を促すビタミンB1が豊富で、長寿にも寄与してくれるアルブミン、というタンパク質が多く含まれている。
慶喜本人も、そんなこときっと詳しく知っていたわけじゃないのでしょうが、”健康シグナルへの嗅覚”が鋭かったのかもしれませんね。
また、多彩な趣味を持っていて
自転車をはじめ、狩猟や弓道などの運動や、風景画も多く描いていたそう。
写真の”自撮り”も好きだったようです。
自己肯定感を高めようとしていたのだろうと、解説者の方が言っておられました。
こうした生活が、長生きの秘訣だったのでしょう。
激動の時代を生き抜いた
お二人の「健康ライフ」にフォーカスした内容でしたが、最後は激動の時代を生き抜いたその苦難にも触れられていました。
260年続いた徳川幕府に終止符を打ち政権を朝廷に返す、という決断を強いられた徳川慶喜。はからずも天皇家の敵のような立ち位置になってしまった。
きっと、さまざまな軋轢があったのだと思います。
しかし、最後には明治天皇から「公爵」の称号をいただき、ようやく心の平穏にいたれたそうです。
そんな徳川慶喜が、勝海舟にお願いした「楽天理」という書。
「楽天理」というのは、”自然にさかわらずあるがままに”という意とのこと。
往時のお二人のお気持ちが偲ばれるエピソードです。
最後にひとこと
歴史を変えた大きな出来事の主役。
突然に職を辞さるを得なかったにもかかわらず、第二の人生を楽しむ術で長生きを全うした、徳川慶喜と勝海舟。
一冊の書を読んだような、気づきの深い番組でした。
2021年3月4日にも同様なテーマの番組が放映されていましたので、ご参考に。
偉人たちの健康診断 選「幕府崩壊、第2の人生の過ごし方 徳川慶喜と勝海舟」