オフィスビルの各フロアに設置されている「給湯室」
昨今はひっそりとしていて、時折弁当箱や自分のコップを洗っている社員の姿を見かける程度です。
昔は"女子はお茶汲み"という風習があったなー。
給湯室は常に新人女子が出入りしていました。
今となっては信じられないような「任務」
消えゆく仕事もあれば、新たに生まれる仕事もある。
今回は、そんなお話です。
「昭和の新人OL」三大タスク
私が新卒で社会人となった1984(昭和59)年頃は、会社勤めの女子は「OL」と呼ばれていた。
OLとは「オフィスレディ」の略。新人OLの三大タスクといえば「お茶汲み」「電話番」「雑用」でした。
お茶汲み
当時の勤務先にはワンフロアに30名程の社員が勤務していて、各自が持ち寄った「マイ湯呑み」に、毎朝お茶を注いで座席まで運ぶ役目。
経費で定期購入しているお茶っ葉だから、おいしいワケはありません(笑)
それを急須に入れて何杯か出し、また、新しい茶葉を入れ替えて何杯か出し、デスクまで運ぶ。
そんなこんなで朝の1時間はあっという間に過ぎていきます。
そういや部長には「オシボリ」まで差し出していたなー。
お昼くらいになると、湯呑みやオシボリを下げて、すべて手洗い。午後にまたお茶を入れて、夕方にはまた片付けて布巾類とともに手洗いして。
なかなかの「業務量」です。
電話番
朝のお茶汲みが終わって、ヤレヤレっと席に着くと、次なる任務は「電話番」
続々と架かってくる電話。
ビジネス電話なんて、もちろん取ったこともない。
相手が名乗っている会社名もサッパリ聞き取れません。取次ぐのに「保留」を押しそびれ、切電しちゃった…なんてこともしょちゅう。
わーん。
要領を得てしまえばなんてことはないのですが、一時は、「電話恐怖症」に陥りかけていました。
雑用
その後は、主に男性社員から雑用のオーダー。
「コレ、コピーとっといてー」
「FAXが来てますよー」
「ファイルの在庫が無いんだけれど」
「小口現金の精算お願いしまーす」
これらを総称して「一般事務」と呼んでいた。
最初の一年は、ほぼそれで給料をもらっていたといっても過言ではありません。
30年後の今は、おそらくほとんど残存していないであろう。
「仕事」というより、「そんなもん自分でやれよー」というものばかり。
それが「タスク」として成り立っていた、なんとものどかな時代でした。
OA化
一方、情報技術の進展。
「IT化」と言われるようになって久しいですが、当時、情報革新について特に会社においては「OA化」といわれていた。オフィスオートメーションの略です。
私の入社時は、パソコンなぞありもしない。かろうじてあったのが「オフコン」
しかし、そんなシロモノは誰もが使うものでは無く、限られたエンジニアだけが、よく分からない目的のために(笑)使っていただけ。
下々の民は、字はほとんど手書き。たまに「タイプライター」で打つ。
その後しばらくして「ワープロ」が登場、以後10年近くはワープロ全盛の時代。「富士通オアシス」がトレンドだったなー。
1990年代中盤くらいになって、ようやくパソコンが普及し始めて、電子メールも利用するようになる。
「ワープロ」はオフィスから消えていきました。
そして、いつの間にか「OA化」改め「IT化」となったのです。
時代とともに消えゆく仕事、新たに生まれる仕事
仕事や機器、時代とともに消えていったもの。
引き換えに、新たに創成された仕事は「考えて、データ化し、それを分析して次に活かす」いうものが多い。
私自身の働き方・在り方も、一般事務から管理職へと進んだ。
「男性はコレ」「女性はコレ」のような垣根もほぼ無くなりつつある。
いかに「自動化して生産性を向上するか?」ということにも常に向き合っています。
21世紀も20年目を迎えつつある今後は、AIの発達により、さらに消えゆく仕事、生まれる仕事。様変わりしていくことでしょう。
「この仕事は淘汰される」「この仕事は生き残る」という議論も活発ですが、実際どうなるかは分かりません。
ただ、私が30年前におこなっていたお茶汲みも電話番もコピー取りも、ある意味「自動化」できる部分があり、少なくとも特定の誰かに依存するようなものではない。
ありきたりですが、とにかく「その人にしかできないこと」に注力していこう。
あらためて気が引き締まります。
今日の一言
職場でふと見かけた「給湯室」の看板からイメージが膨らみ、つい昔話が長くなりました。
これまでの30年、そしてこれからの30年。
どうせなら、ずっと仕事を続けつつ、見守ってゆきたいものです。