「ビジネス数学」のご専門家・深沢真太郎さん。
2019年1月新刊の本書は「伝わる」がテーマになっています。
なぜ「数学」が「伝わる」とつながるのだろう?‥とても興味深く本書を読ませていただきました。
リピート率 100%
深沢さんの講座は、初めてご依頼いただいたクライアントさんからのリピート率が100%とのこと。
素晴らしいなー。
その評価は「わかりやすかった」「納得できた」「やってみようと思えた」「丁寧だった」という「伝え方」に関するコメントが大半を占めるそうです。
ご自身で何に気をつけているか?それは、「伝わるスイッチをonにする」
では、具体的に深沢さんが心がけている「伝わるスイッチ」って、何?についてを、各章でくわしく解説くださいます。
大切な3つのこと
まず大前提として、大切な3つのこと。
- 少ない言葉
- ていねい
- 正しそう
コレを行うことによって、受け手さんに「わかりやすい」「なるほど」と思ってもらえる。
普段、雑談しているときなどは、意識しなくてもぜんぜんOK!なのだけれど。
いざっていうとき(スイッチをonにするとき)は、コレに尽きる。
自分のことを振り返ってみるに、どうにも語彙が多過ぎる傾向アリ。
それって、相手の目線に立っていないんだよなー。とあらためて反省です。
「ていねい」っていうのは、心がけているつもりですが、「正しそう」というのは、感覚的ではなくて数的根拠が必要になる。
「わかりやすい」とは、「正しそう」
「正しそう」に伝わるために。ココがまさに、数学の出番です。
本書のコトバを借りると…
A「出会いから交際の申し込みまでは短期間の方がいい。そのほうが男らしいじゃん!」
B「出会いから交際の申し込みまでは短期間の方がいい。実際、そういう統計データがある」
Aは感覚的。Bは数字根拠に裏付けられている。
感覚に賛同してもらうのもひとつだけれど、数字根拠があったらより「正しそう」と思える。すると、受け手さんが、その意見に真に賛同してくれるのですよね。それがきっと「わかりやすい」という共感へと導いてくれる。
また、ポイントは「正しい」ではなくて「正しそう」という点。
正しいとか正しくないとかって、主観的なジャッジだから、それを決めるのは送り手じゃない。
ただ、受け手さんが「正しそうだな」と思えば良い。
本書中にある、別のフレーズ「そもそも人はあなたの話を聞きたいとは思っていない」という点も刺さります。
だからこそ。わかりやすく伝えることで初めて、受け手さんのベネフィットと思ってもらえるんだろうな。
それぞれの"スイッチon"
「実践編」では、それぞれの「スイッチon」について、バラエティ豊かなエッセンスを教えてくれます。
- 言葉に「愛」をこめて「プレゼント」という発想を持つ
- 開始1分で、前提の確認をする
- 「意見をまとめておいてください」など、説明の冒頭で、相手にして欲しい行為を具体的に伝える
- 「いまから説明する内容は、大きく3つに分かれています」など、「要素」の数を伝える
- まずは「結論から」→「なぜなら」"ペア"から始める
- 「and」か「or」かを明確にする
- 本題から外れた話をするときも必ず脱線の"方向"を伝える
- 「身近な比喩」が最強である
…etc.
プレゼンをするときに。何かを伝えるときに。常に意識しておきたい点が満載です。
数的表現は、受け手さんへの「愛」
また、数学のご専門家ならではのアドバイスもくださいます。
- 「100人に1人は成功します」など、伝えたいニュアンスを数値化する
- 「偏差値」に置き換える
- 「100」を基準にする
- 「プレゼンは"1ー1ー3"です」など、数字をキーワード化する
- 「予想」ではなく「予測」を伝える
…etc.
ふむふむ。
やはり、単なる感覚的ではなくて、数的根拠を用いることで、さらに「伝わる」ことが図れる。
それって、理屈じゃなくって、受け手さんへの「愛」なんですよね。
最後にひとこと
「伝わる」ということの、大切さ。
「おわりに」で書かれてあったことに、とても感銘しました。
目の前にいるその人に「わかりやすい」と「なるほど」をプレゼントしたいと心から思って伝えること。それが人間ならではのコミュニケーションです。
「AI」より「愛」
そんな、"人間くさい"数学者・深沢真太郎さんの熱い思い。
つねにかたわらに置いて、日頃のコミュニケーションの友となってもらえる一冊です。