『東大生は、読書で思考を広げたり、深めたり、整理したりしている。そのために、ちょっと特別な本の「使い方」をしている』
「はじめに」にあるそんな書き出しに惹き込まれ、本書を手にとりました。
どんなふうに”特別な使い方”をしているのだろう。
また、そのトレンドには一般の書店には無い特徴がある。
本書は、東大生協の書店員さんが、そんなユニークな分析をされた興味深い一冊です。
話題書やベストセラーにとらわれない
東大生協の書店で売れている本というのは、世間の潮流にとわられず、学生さん自らがセレクトしているものだそうです。
良質の本をたくさん読むからこそ頭がよくなり、その結果さらに難しい本もたくさん読めるようになる。これが東大生の知性の秘密だったのです。
自分に満足していないから本を読む。
‥一冊の本から始まって、知の探求がさらに別の本へと。数珠つなぎに広がってゆく世界なのですね。
気になったものの大元をさぐる
たとえば。
2010年に大ブームになった『もしドラ(もし高校野球のマネージャーがドラッガーの「マネジメント」を読んだら)』
東大生協書店でも人気があったそうです。しかし、その二番煎じ的な書は人気がなく。
続いて、ドラッガーの「マネジメント」がよく売れていたとのこと。
学生さんいわく。
気になったものの大元を知りたくなるのは当然じゃないですか
ほほーーーっ。
まさに"深めて、広げる"です。
売れている本のランキング
第2章、3章では、分野別売れている本のランキングを紹介してくれています。
一例を挙げると。
東大史上もっとも売れた本というのが『これからの「正義」の話をしよう』(マイケル・サンデル著)
専門書、自己啓発本、歴史書、ビジネス書、哲学書、新書…etc.
それぞれがなぜ人気があるのか?その根拠も解説されていて、興味深い。
どの本も手にとってみたくなってきます。
終章では、実際に東大生である(または、であった)方々が、どのように本と向き合って活用してきたかを語ってくれる。
とくに、養老孟司さんのメッセージ『のめり込んで読まないと面白くない』
というのが、とても刺さりました。
今日の一言
この本を読んでいると。
「東大生の」というより。
これから社会に出ようとする、知性あふれる若者が、
一生懸命に何をつかもうとして、ひたむきに何を学ぼうとしているのか?
…とてもよくわかります。
学生さんであったり、新卒として入社してきた方々とのコミュニケーションにも。
役立つこと間違いなし。
よろしければぜひご一読をw