「5分会議」を活用した人材育成家/1分トークコンサルタント、沖本るり子さんの新刊『期待以上に人を動かす伝え方』
るり子さんが教えてくれていること。"いかに短い時間で的確にコミュニケーションを図ることができるのか?"
本書は、それをさらに「相手を動かす」という視点で掘り下げてくださっています。
「伝える」だけでは、意味がない
「伝える」ということは、常日頃誰しも行っていること。
しかし、「伝える」だけではモノゴトは終わらない。
「伝えることによって、相手が行動を起こしてくれる」こと。
そして、その行動がその方にとって価値を見出せること。
「伝える」じゃなくて「伝わることによって、相手の行動を促すことができる」
本書では、そのための、言葉の用い方や表現の仕方についてを具体的に教えてもらえます。
「NG」と「OK」の対比がとても分かり易い
とくに分かり易いのが「NG」と「OK」の対比について、多くのページを割いて事例を挙げていただいているところ。
例えば。
<NG>
「あ。これ、お手すきのときに、やっておいてくれますか?」
<OK>
「あ。これ、〇月△日の□時まで、やっておいてくれますか?」
実際。
自分が仕事上で人に何かを頼もうとするとき。
もしくは、人から何かを頼まれようとするとき。
”お手すきのとき”なんて、永遠にやってこないものだ。
”いつまで”と指定してもらったほうが、取り組めるものだ。
いかに明確なコミュニケーションであれるか。それによって、相手の感情が動き、行動へとつなげてもらうことができるのですよね。
「思い過ごし」はご法度
ちょっと話がズレますが、昔の歌に「思い過ごしも恋のうち」っていうフレーズがあったっけ。
恋愛においては、そんなふわっとしたことがあるのも、またよろし。
しかし、仕事の場においては「思い過ごし」はご法度。
本書の「section7」にある、「小難しい言葉を使う」という箇所。
やたら外来語を多用してしまう場面もありがちですが、
所詮外来語は外来語。日本語の意味とイコールではない。
とくにハッとしたこと。
「ペンディング」というコトバがありますが、ワタシはコレを「保留」という意で用いていました。
しかし。
「中止」との意もあるようだ。
自分の常識は世間の常識ではない。
とくに外来語(英語コトバ)は注意が必要です。
人に動いてもらえないことと、動いてもらえること
とにかく。
こんなふうにやってしまったら「人に動いてもらえない」
例えば。
- 言ったツモリ、伝えているツモリ
- 文が長い。ダラダラと思いつくままに話す
- 淡々と同じ調子で話し続ける
…etc.
一方「人に動いてもらえる」というコツは。
- ものさしは同じ寸法で、数字で語る
- 交渉を前提にしない
- 言い切りで納得度を上げる
- 説得するのではなく、納得してもらう
…etc.
そして、「期待以上に動いてもらえる」というのには。
- 相手の気持ちをプラスにする
- 行動/思考/感情を見てあげる
- マイナス言葉を言わせない
…etc.
終章では、「こんなときにどうする?」というシーン別伝え方についてもガイドしてもらえて、実際そうした現場に直面したときにも、多いに参考にすることができそうです。
もっとも大切なこと、それは「相手軸で話す」
結局。
伝えることとは、それによって、相手が行動してくれるということ。
だから「自分物語」ではなく「相手物語」の視点に立つことが大切。
ビジネスの場だけではなく。
身近なコミュニケーションでも、SNSやブログでも。
「相手軸」
これが真髄なのだと、本書を読んであらためて気付かせてもらうことができました。
ビジネスシーンのみならず、また、話すだけでなく、書くときにも。
是非ご一読をおススメしたい珠玉の一冊です。