著者の堀江貴文(以下、「ホリエモン」と記載)さんのことを初めて知ったのは、今から遡ること14年前の2004年、当時のプロ野球球団「近鉄バッファローズ」の買収劇。
その頃のプロ野球界はさまざまな過渡期を迎え混迷のなかにいた。突然現れた”時代の寵児“IT企業経営のホリエモンが、困窮していた近鉄球団の買収に名乗り出て世間をあっと言わせる。
「コイツは誰やねん?」みたいな好奇の目にさらされながらも、記者会見で「近鉄バッファローズを買います」とさらっと言いのけた風景を今でも鮮烈に覚えています。
結局それは成立せず、その後アレコレな挙句に逮捕・服役となってしまった。
ふてぶてしさのにじみ出ているふうなその風貌に、苦手意識満載。
ワタシのホリエモンに対する印象はそんな感じでした。
出所されたのちにはあらたな活路を見出し、数々のベストセラーを著している。
なんだか不思議なヒトだなー。
お友達がブログで「さらっと読めてオモシロイよー。」と本書を勧められていたことから、手に取ることにしました。
「自分に集中」して生きることで、人のためになる
タイトルからして、相変わらずふてぶてしい印象(笑)
でも、ホリエモンが言いたかったことが「はじめに」のメッセージに込められています。
自分が「正しい」と信じることを、やるしかない。
自分が「必要だ」と感じるものを、手に入れるしかない。
自分が「後悔しない」と言える、好きな道を行くしかない。
自分が「こうだ!」と決めたことを、努力して続けていくしかない。
なんだよー。つまるところ「自分らしく生きる」ってことじゃないの。
ならそういうタイトルにすればいいのに。しかも表紙に「炎上される者になれ!」とか付け加えなくとも…。こんなん書いてあったらイラっとするわ。
まあ、ご自身でなく編集者さんの”演出”もあるのかもしれませんが、かような表現がホリエモンのホリエモンたる由縁なのかもしれませんね。
結局、言いたいのは「自分に集中して好きなことに心血を注ぎ幸せでいられれば、きっと周りの幸せにつなげることができる」ってことのようだ。
そして、ホリエモンはそうやって生きてきた。
読み進めてゆくうちに、”イラっと”が”ワクワクっと”に変わってきました。
「社会のために役立つ」という視点
「好きなことをして生きる」のお次は、炎上”蘊蓄”について。
表紙にわざわざ書いてあるのだから、おそらく「炎上」について語らねば。という気概で(笑)この点にも章を割かれてあります。
なんてったってウケたのが「炎上はコスパがいい」。
あることについていつもの”直球発言”でツイートしちゃったら案の定、大炎上。
すると、その課題に関して活発な議論や問題提起が交わされるにいたり、功を奏したとのこと。
「僕の発言は『社会のために役立つ』という視点から一度もぶれたことはない。
この言葉が妙に刺さりました。
無駄なものにふりまわされない
サブタイトルに書かれてあった「無駄なものにふりまわされない」。
自分らしく生きるってことは、無駄なことに一喜一憂せず心のバリアをはずすことなのだ。と著者は説きます。
- 考えても意味がないことは頭から消し去る。
- 人は他者の期待を満たすために生きているのではない。自分が満足するために生きているのだ。
- 無心になって没頭できることをやる。
「自分ファースト」でいられれば雑念を振り払い、他者との関係も心をさらけ出し合う(バリアを外す)ことで良好に築けるのですよね。
だから、「自分のことだけ考える」ってことなんだと、腹落ちです。
優しさと感謝
終章では、
- 人はひとりでは生きていけない。人の支えが必要だ。
- 優しさを忘れない。それが誰かを救うことがある。
- 感謝は本音で伝えよう。
…といった、なんだかハートフルな呼びかけが続きます。
一見、尖りまくっているホリエモン。まあ、それは一種の「見せ方」なのかもしれませんね。
最後に、もっとも印象に残ったフレーズをご紹介します。
ひとりひとりが心の殻を破って自由に生きることで、その人の持っている能力を最大限に活かし、それが最終的には社会のために還元されることを願っている。
今日の一言
億万長者から激変して服役という…数奇な運命を辿りながらも、人を恨んだり何かを妬むことなく、たんたんと自分を貫いているホリエモン。
案外、いいひとなんだ(笑)と、本書を読んで印象が変わったわー。
何よりも、「自分らしく生きる」。あらためて心に刻みました。