アドラー心理学。
多くの書物からその教えに触れるにつけ、幾度も「心洗われる」想いに救われました。
ところが、アドラー本人が真に伝えていたことが必ずしも正確に流布されているばかりではない。
アドラー心理学を40年の長きに渡って研究されてきたご専門家・岩井俊憲さんの著書『超訳 アドラーの言葉』であらためて”アドラーの言葉”を受け取らせてもらいました。
紹介します。
アドラーがわかりづらい理由
本書の冒頭で「アドラーがわかりづらい理由」について、まず解説くださっています。
オーストリア生まれのアドラーは、なんと!56歳まで英語と無縁の生活を送ってきたとのこと。
米国での講演活動で人気を博したことから出版に至って、ところがドイツ語ネイティブのアドラーと、英語ネイティブの編集者さんとの間には溝がある。
そうした「言語の壁」が、アドラーの本がわかりづらい…という一端ともなっているようです。
本書のタイトルにある”超訳”
様々な背景事情はさておき、愛すべきアドラーが真に伝えていたことにフォーカスしている点(翻訳ではなく超訳)に、とても惹かれました。
例えば「課題の分離」
自分自身の管理職仕事や子育てのことを考えるに「それは部下さんの課題」「それは息子の課題」と、つい、切り離してしいまいがちでしたが、実は本来は「協力のための手続きの一つ」(実際には、このメソッドの初出はアドラーではなく、本書の著者)
なるほどーー。納得しきりです。
アドラー心理学は「実践」の学問
冒頭でのこうした解説を元に、具体的な各カテゴリー毎の「アドラーの言葉」へ続いていき、
それぞれが日々の社会生活や家庭生活にとって、身近なことばかり。
本書で「アドラー心理学は『実践』の学問」と説いていることがとても刺さります。
例えば。
第1章「働く」ことの意味
第2章 人間関係の悩み
仕事人としては、この2つって最も大きなテーマと言っても過言ではありません。
- 一緒に働く人や顧客の要求を理解する
- なんらかの形で社会に役立つ仕事をせよ
- 条件付きの向上心を持つな
- 仲間の人間に興味を持つ
アドラーが説いたのは、はるか以前(1900年代前半まで)で、それから300年以上経っても変わらぬ真理。
人として大切なことって、不変なんですよね。
ダイバーシティにも通ずる
第3章 愛・パートナーシップ
の中で語られていること。
「平等」あってこそ、愛は正しい道を歩む
「女性は劣っている」という偏見の悲劇
「結婚」を主テーマとしていますが、これって昨今より大切だとされてきている”ダイバーシティ”にも通ずる。
女性管理職として20年近く奮闘してきた私ですが、改めてアドラーに背中を押してもらった想いです。
さまざまなシーンでの、アドラーの格言
その他にも「子育て・勇気・ライフスタイル(性格)・劣等感・学び」さまざまなシーンでの、アドラーの格言に、ハッとさせられることしきり。
例えば
- 困難は「壁」ではなく「征服できる」もの
- まず信頼されよ。そののち勇気づけよ
- 他人の不安に屈するな
- 劣等感は健康の証
- 他者に何を与えられるのか
…etc.
”超訳”だからこそ刺さる、宝のフレーズが満載です。
超訳アドラーの言葉/ディスカヴァ-・トゥエンティワン/岩井俊憲
最後にひとこと
読んで得たことを繰り返し&確認するのに、本書は文庫本サイズで、常に傍らにおいて眺め返すことができるのも嬉しい。
色々と悶々としてしまったときにぜひ、この1冊!
オススメします。