こんにちは。女性管理職20年の いくみ(@nesan_blogger)です。
「あなたなら大丈夫」「君ならできるよ」…部下さんを励ますつもりで掛けた言葉が、実は相手を追い詰めてしまっていた。そんな経験はありませんか?
良かれと思って発した言葉が、なぜか部下さんの表情を曇らせてしまう。そして気づいた時には、もう手遅れ…なんて悲しい結末は避けたいものです。
この記事では、上司の思い込みがいかに部下さんへの逆効果を生み出すか、そして、追い詰めるのではなく、寄り添えるコミュニケーション術についてをお伝えします。
管理職なら必ず経験する「良かれと思ったのに…」の落とし穴
管理職として日々部下さんと接していると、こんな場面に遭遇することがあります。
忙しそうにしている部下さんに「あなたなら大丈夫」と声を掛けたのに、なぜか相手の表情が硬くなってしまう。
「頑張って」「君ならできる」と励ましているつもりなのに、なんだか距離を感じるようになってしまった。
実は、この現象には明確な理由があるのです。
【上司の思い込みが強いほど、部下さんへの逆効果も大きくなる】
例えば「あなたなら大丈夫」が、なぜ逆効果になるのでしょうか?
部下さんの心理状態を無視した決めつけ
「あなたなら大丈夫」という言葉は、一見励ましのように聞こえます。しかし、これには重大な落とし穴が隠されています。
部下さんからしてみれば:
– 「本当は大丈夫じゃないのに、そう答えざるを得ない」
– 「『できません』『無理です』と言えない雰囲気になってしまう」
– 「上司の期待に応えなければ、というプレッシャーを感じる」
つまり、上司の思い込みが強ければ強いほど、部下さんは本音を言いにくくなってしまうのです。
アンコンシャスバイアスが生み出す悪循環
私たちは無意識のうちに、自分の価値観や経験を基準に相手を判断してしまいがちです。
例えば:
– 「私はこうやって乗り越えたから、あなたもできるはず」
– 「優秀な人だから、このくらいは問題ないだろう」
– 「いつも頑張っているから、今回も大丈夫」
こうした思い込みが、知らず知らずのうちに部下さんを追い詰めてしまう。
アンコンシャスバイアスが生み出す悪循環です。
解決策:寄り添い力を磨く具体的な方法
では、どうすれば良いでしょうか?
一言でまとめますと「上司の寄り添い力を磨く」そのためのステップを3つに分けて解説します。
自分の価値観へのこだわりを手放す
まずは、自分の価値観やアンコンシャスバイアスへのこだわりを手放すことから始めましょう。
やってしまいがちな思い込み例:
– 「若い人は体力があるから大丈夫」
– 「経験があるから任せても問題ない」
– 「前回うまくいったから今回も大丈夫」
これらの思い込みを手放し、目の前の部下さんの状況を個別に見つめることが大切です。
決めつけるような言い方を避ける
いわゆる「紋切り型の表現」。一見、バシッとして良さげに思えるかもしれませんが、実際には吉と出るか凶と出るかわからないことも多いもの。
従来の言い方を下記の例のように改善してみましょう。
従来の言い方:
– 「あなたなら大丈夫」
– 「君ならできる」
– 「心配いらない」
改善した言い方:
– 「私は〜〜だと思うんだよね」
– 「もしよろしければ、私の考えをお聞かせしてもいいですか?」
– 「あくまで私の感覚ですが…」
このように、自分の意見として伝えることで、部下さんも反対意見を言いやすくなります。
「寄り添いフレーズ集」を作成する
次に、実際の場面で使える「寄り添いフレーズ集」を自分なりに準備しておくこと。とっさの時にも適切な言葉をかけられます。
おすすめフレーズ例をいくつかお示しします。
状況確認系:
– 「今の状況、教えてもらえますか?」
– 「何か困っていることはありませんか?」
– 「どんな感じで進んでいますか?」
共感・理解系:
– 「それは大変でしたね」
– 「なるほど、そういう状況なんですね」
– 「お疲れさまです」
サポート提案系:
– 「何かお手伝いできることはありますか?」
– 「一緒に考えてみませんか?」
– 「もしよろしければ、私の経験をお話ししてもいいですか?」
上司の思い込みと逆効果は比例する
繰り返しになりますが、これまで数多くの部下さんと接してきて痛感するのは、「上司の思い込みが強ければ強いほど、部下さんへの逆効果も大きくなる」
つまり、比例するのです。
工夫すると良いのは、決めつけるような言い方ではなく、「私は〜〜だと思うんだよね」といった表現で、相手が本音を言いやすい環境を作っていったり、日頃から「寄り添いフレーズ集」を活用して、部下さんとのコミュニケーションを丁寧に積み重ねていくこと。
思い込みを手放すのは簡単なことではありませんが、部下さんとの信頼関係を築くためには欠かせない取り組みです。
私たち管理職の小さな意識変化が、職場全体の雰囲気を大きく変えていく…そんな好循環を一緒に作っていきましょう。