「食事が人間のパフォーマンスに大きく影響する」
この言葉自体は、多くの人が一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。私自身も、頭では理解していました。けれど正直なところ、「では、実際に何をどう心がければいいのか?」と聞かれると、曖昧なままだったのです。
健康マネジメントスクール代表・仕事のパフォーマンスを上げる健康習慣の専門家 水野雅浩さんの『集中メシ!アタマの良い人は何を食べているのか?』は、そんな“わかっているようで、わかっていなかった部分”を、非常に体系立てて、しかも驚くほどわかりやすく解説してくれる一冊。
ご紹介します。
集中力は食事によってつくられる
本書が一貫して伝えているのは、「集中力は気合や根性で生み出すものではなく、食事によってつくられる」という事実です。
朝のぼんやりした頭、午前中のガス欠状態、午後の強烈な眠気、夜の寝つきの悪さ。こうした日常の不調を、単なる個人差や年齢のせいにせず、「食」という視点から丁寧にひも解いていきます。
特に印象に残ったのは、最新研究のエビデンスを重視しながらも、決して専門的すぎず、日常生活に落とし込める形で説明されている点。
「脳にはアブラが必要」「良質なエネルギーをどう届けるか」「腸内環境が集中力に及ぼす影響」など、一瞬聞き慣れないフレーズもありますが、読み進めるうちに自然と腑に落ちていきました。
「今日からできそう」という身近感や具体性

また、理論だけで終わらないのも本書の魅力です。
実際のメニュー例や簡単なレシピが紹介されており、「これなら今日からできそう」と思える身近感や具体性があります。食事改善というと、どうしてもハードルが高く感じがちですが、本書はその心理的な壁をとても低くしてくれます。
さらに印象的だったのは、著者の一貫した姿勢です。実際に著者が携わってきた介護サービス、飲食業、サプリメントの商品開発…などで培った現場や日常をよく知っているからこそ、極端な方法に走らず、誰でも続けられる現実的な提案に落とし込まれている。
その誠実さが、本書全体からも伝わってきます。
『集中メシ!』こんな人に手に取ってほしい
この本は、仕事や勉強でパフォーマンスを上げたいと考えている方はもちろん、「食事を少し見直すだけで、集中力や思考力が変わるなら…」と望んでいる方に、ぜひ手に取ってほしいです。
そしてもう一つ、強くおすすめしたいのが、お子さんの集中力や将来を気にかけている親御さんです。
集中できない理由を、意志の弱さや性格の問題にしてしまう前に、「食」という環境要因があることを知るだけで、親としての関わり方は大きく変わるはずです。
努力の方向を間違えず、体と脳に正しくエネルギーを届ける。
『集中メシ!』は、日々をより良い状態で過ごすための、静かで確かな指針を与えてくれる本であること、間違いありません。
集中メシ! アタマの良い人は何を食べているのか?/すばる舎/水野雅浩



