『本当の頭のよさが育つ昔ばなしの魔法』AI時代だからこそ大切な、子どもの”違和感センサー”を育てる
子育てを終えた今だからこそ、「子どもに本当に必要だったものは何だったのだろう」と振り返ることがあります。
昔ばなし研究家として活躍されている、沼賀美奈子さんの『本当の頭のよさが育つ昔ばなしの魔法』を読んでの気づきを紹介します。
「違和感センサー」を育ててくれる、昔ばなし
かつての子育て真っ只中の頃、とにかく日々悩みの連続でした。
勉強も大事、運動もさせたいし、読書もしてほしい。でも現実は仕事や家事に追われて一日があっという間に終わり、「今日は動画を見せっぱなしだったな…」と自己嫌悪に陥ることもしょっちゅう。
本書で特に心を動かされたのが、「昔ばなしはAI時代に必要である」と語っている点でした。昔ばなしというと、どこか懐かしい文化や情操教育の一つというイメージがありましたが、本書はそれを現代的な視点で捉え直しています。
印象に残ったのが「違和感センサー」という考え方。
昔ばなしには理不尽な展開や不思議な出来事がたくさん登場します。「なんでこうなるの?」「それっておかしくない?」と感じる場面も少なくありません。
しかし、その“なんだか変だな”という感覚こそが、考える力の入り口になるのだと著者は語ります。
正解がないことが、子どもの心の根っこを太くしていく
たしかに昔ばなしには、学校のテストのような正解はありません。
論理だけでは説明できないことも多く、道徳だけで割り切れない物語もあります。だからこそ子どもは考える。感じる。そして自分なりの答えを探し始める。
本書から引用します。
すぐに答えが出ない余白や、どうしてこんなことが起きたのだろうと思い巡らせる時間こそが、子どもの心の根っこを深く太くしていきます。
この言葉に深く頷かされました。
AIが瞬時に答えを返してくれる時代だからこそ、人間には“問いを持つ力”が必要になる。その力を育てる入り口が昔ばなしの中にあるという視点は、まさに目から鱗でした。
世代を超えて物語を手渡していく営み
著者は30年以上にわたり昔ばなしを研究してきた専門家。
その長年の知見が詰め込まれているだけでなく、忙しい親でも今日から実践できる形で書かれているのも本書の魅力です。
私自身はすでに子育てを卒業していますが、「これは孫にも伝えていきたい」と素直に実感。
昔ばなしを読み聞かせることは、単なる教育法ではなく、世代を超えて物語を手渡していく営みでもあるのですよね。
本書を読み終えたあと、巻末で紹介されている国内外の昔ばなしを片っ端から読みたくなりました。
そして何より、「何を習わせるか」ばかりに意識が向きがちな現代だからこそ、「まずは寝る前の5分から始めてみよう」と肩の力を抜いて子どもと向き合えること。
子育て中の方はもちろん、教育に迷いを感じている方、そして少し心を整えたい大人の方にも、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
